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【その時の今日】北の挑発が呼んだ悲劇の6・25

産業化・脱権威触媒剤の役割も



夏も盛りのころ、歌ばかりを歌いながら過ごしたキリギリスと熱心に働いたアリの越冬を描いて「アリのように生きろ」と教えたイソップ寓話。しかし知識情報化社会には暑さに堪えて歌唱力を培い、人気歌手となったキリギリスの成功談の方が心にぐっとくることもある。時代によって寓話を見る尺度が変わるように、変化する現在に合わせて過去の歴史も再解釈されることはできないだろうか。59年前の今日、北の南侵で起こった6・25戦争に対して我々が持っている固定観念は殺伐として否定的だ。共食いの悲劇と家族離散の痛み、沸き立つ憎悪と虐殺、大量破壊と絶対貧困、外勢介入と分断固着化等々。しかし観点を変えれば遅滞と退嬰をもたらした障害物と認識されてきた南北分断も違って見える。民族史の大きな流れを見れば、三国時代と渤海と統一新羅の南北国時代など分裂の時代に、むしろ文化の隆盛と発展があった。熾烈な競争を誘発して南北が各自の体制内で発展を模索するようにした要因のうちのひとつが分断だったとも見られる。


6・25の悽絶な記憶を常に再生する離散の苦痛も巨視的に見るとき、個人史の悲劇を超える社会的動力を新たに作ったように見える。特に大韓民国の飛躍的発展に貢献した。1950年12月3日、氷のように冷たい大同江を渡って後退する国軍に付いて平壌を発つ避難民(写真=戦争記念館)らもその同じ脈絡と見られる。戦争難民の大量発生はディアスポラ(Diaspora)の悲劇をもたらしたが、裏面では静寂な伝統的農業社会で動的な近代産業社会への変化を触発する都会化の進行を導き出した。特に都市の匿名性は伝統的身分社会の遺産を破壊して人々の間に能力本位の近代的競争を触発することで産業社会への変化に拍車をかけた。都会化による核家族化も農業社会の家父長的権威を弱化させることで、人権、特に目覚ましい女性権益の伸張をもたらした。また都会化は空間の文明化を触発することで生の質を高めた。

共食いの武力対決が触発した南北間の軍事力強化競争はその後、ますます激しくなった。北朝鮮は核実験をした上、長距離ミサイルを発射する巨大な兵営国家となった。韓国も各種先端武器を保有した強い軍事強国となった。こうした状態で北朝鮮の露骨な軍事的脅威で南北緊張が高まり心配だ。数百万人が犠牲となった同族らの悲劇が再び再現されないよう万般の態勢を揃えなければならないという点を6・25の59周年を迎え、心に誓ってみる。



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