昨年4月「米国産牛肉、牛海綿状脳症(BSE)から安全か」編を制作して放送したMBCテレビ(文化放送)の時事番組「PD手帳」の製作者5人を、検察が昨日、名誉棄損などの疑いで在宅起訴した。検察によると、制作者は▽歩行困難な牛(へたり牛)▽米国人女性アレサ・ビンスンさんの死因--などを伝える30場面を故意に歪曲・誇張したということだ。検察はまた、担当の作家が「現政権に大きな敵がい心を抱いていた」という点を示す証拠として関連の電子メールを提示した。
制作サイドが検察の発表に反発しているが、真相は裁判所が明らかにするだろう。しかし検察の発表と制作サイドが反論した内容を見ると、どちらにより説得力があるかは自然に分かる。国民を興奮させた決定的な部分だったビンスンさんの死因を見てみよう。検察によると、ビンスンさんの遺族はもちろん担当医、保健当局、地元メディアなど解剖検査の結果が出るまでは誰も死因を断定しなかったということだ。実際の死因もBSEとは関係ない「ウェルニッケ脳症」であることがわかった。しかしPD手帳側はあたかも「人間狂牛病(vCJD)」で死亡したかのように報じたのだ。それもインタビューを翻訳した原稿にクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)と表記されていたのを、vCJDに直した。制作サイドは「ビンスンさんの母親がvCJDとCJDを混用していたため本人に確認した」という具合に釈明している。一言でいってこれはごまかしだ。「本人に確認したところ、このように答えた」という実体は示さず、確認の義務を果たしたかのように見せようとしている。
「へたり牛」などほかの部分でも同じだ。翻訳の歪曲がひどく、内部から告発者が出てきたほどではないか。制作サイドはこの事態を「国民の知る権利を侵害するもの」として糊塗しようとせず、本質を直視してほしい。歪曲をしていないのなら、より明確な証拠を提出し、そうでなければ国民の前で謝罪しなければいけない。知る権利と歪曲は異なるレベルのものだ。後輩に「こうするのが取材の正道」と言えるのか自問してみれば、答えが出てくるはずだ。
MBCにも言いたい。こうした状況になる前に言論機関の本領に合う自主的な浄化機能を発揮すべきだった。英BBCテレビは03年、イラク戦争関連の報道が偽りと判明したのを受け、最高経営陣全員が辞退した。法の審判を恐れたからではなく、公営放送の重い責任を認識したからだ。無条件に仲間をかばうことだけが最善ではない。二の舞を踏まないために内部のシステムを整備するのに倍の努力を払わなければならないだろう。
制作サイドが検察の発表に反発しているが、真相は裁判所が明らかにするだろう。しかし検察の発表と制作サイドが反論した内容を見ると、どちらにより説得力があるかは自然に分かる。国民を興奮させた決定的な部分だったビンスンさんの死因を見てみよう。検察によると、ビンスンさんの遺族はもちろん担当医、保健当局、地元メディアなど解剖検査の結果が出るまでは誰も死因を断定しなかったということだ。実際の死因もBSEとは関係ない「ウェルニッケ脳症」であることがわかった。しかしPD手帳側はあたかも「人間狂牛病(vCJD)」で死亡したかのように報じたのだ。それもインタビューを翻訳した原稿にクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)と表記されていたのを、vCJDに直した。制作サイドは「ビンスンさんの母親がvCJDとCJDを混用していたため本人に確認した」という具合に釈明している。一言でいってこれはごまかしだ。「本人に確認したところ、このように答えた」という実体は示さず、確認の義務を果たしたかのように見せようとしている。
「へたり牛」などほかの部分でも同じだ。翻訳の歪曲がひどく、内部から告発者が出てきたほどではないか。制作サイドはこの事態を「国民の知る権利を侵害するもの」として糊塗しようとせず、本質を直視してほしい。歪曲をしていないのなら、より明確な証拠を提出し、そうでなければ国民の前で謝罪しなければいけない。知る権利と歪曲は異なるレベルのものだ。後輩に「こうするのが取材の正道」と言えるのか自問してみれば、答えが出てくるはずだ。
MBCにも言いたい。こうした状況になる前に言論機関の本領に合う自主的な浄化機能を発揮すべきだった。英BBCテレビは03年、イラク戦争関連の報道が偽りと判明したのを受け、最高経営陣全員が辞退した。法の審判を恐れたからではなく、公営放送の重い責任を認識したからだ。無条件に仲間をかばうことだけが最善ではない。二の舞を踏まないために内部のシステムを整備するのに倍の努力を払わなければならないだろう。
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