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検察がMBC(文化放送)番組「PD手帳」の牛海綿状脳症(BSE)関連報道が歪曲されたと判断した根拠は大きく4つある。ダウナー牛、アレサ・ビンソン氏の死因、韓国人がBSEに感染する確率、韓米牛肉交渉と関連した報道だ。「悪意的または著しく公正性を欠いた報道」であるため、名誉毀損容疑を適用できるということだ。しかし「PD手帳」制作スタッフの弁護人キム・ヒョンテ弁護士は「検察の主張は枝葉的もので報道の本質とは関係がない」と反論した。
1.ダウナー牛=「PD手帳」は、BSEに感染した可能性が非常に大きい‘ダウナー牛’(へたり牛)が食肉処理されて流通している、と放送した。制作スタッフが専門家とのインタビューで、ダウナーの原因はBSEのほかにもいろいろある点を知りながらも、意図的に歪曲したというのが検察の説明だ。
またダウナー牛を虐待する動画を見せた後、「こういう牛が食肉処理されたとは思えない」というヒューメインソサエティー関係者のインタビューも放送した。司会者のソン・イルジュン氏が「さきほどのBSEに感染した牛」と言及した。検察は「ダウナー牛=BSE感染が疑われる牛」と感じるように事実を歪曲したと判断した。これに対しキム・ヒョンテ弁護士は「ダウナー牛にBSEの危険性があるという点は米国政府も認めた事実」と釈明した。
2.アレサ・ビンソン氏の死因=米国人女性アレサ・ビンソン氏が米国産牛肉を食べた後、‘人間BSE’で死亡した可能性が高いと報道した。しかし検察が確認した結果、ビンソン氏の遺族・担当医師、保健当局・現地メディアのうち誰も死因を断定してはいない。放送が「BSEが疑われると診断した」と伝えた医師バロット氏は‘人間BSE’の原因と症状を20分間説明しただけで、ビンソン氏の死因には言及しなかったという。
「PD手帳」は、「(‘人間BSE’と)結論が出たわけではないので何の計画もない」というバージニア保健当局の関係者のインタビューを字幕で処理した。しかし実際の公式取材は拒否され、当時の関係者は公式結論が出るまで言及しないという趣旨で答えたというのが検察の説明だ。キム弁護士は「ビンソン氏の母ロビン・ビンソン氏が娘の死因を説明しながらCJD(退行性脳疾患の一種)とvCJD(人間BSE)を混用して使った」と主張した。
3.韓国人のBSE感染確率=韓国人がBSEに感染した牛肉を食べた場合、‘人間BSE’にかかる確率が94%という報道があった。しかし一つの遺伝子型だけで人間BSEの発病危険性が上下すると断定できない、というのが専門家の説明だ。「PD手帳」制作スタッフはこうした事実を取材しながらも、放送では説明しなかった。チョ・ヌンヒPDは「韓国人がBSEに弱いという事実は多くの学者が認めている」と反論した。
4.韓米牛肉交渉=交渉締結で30カ月未満の牛肉部位のうちBSEを誘発しうる特定危険部位(SRM)5種類が輸入されるという内容だ。しかし30カ月未満SRMは2種類で、これもすべて除去された後に輸入することで交渉が締結された。イ・チュングンPDも取材を通してこういう事実を認識したと検察は見なしている。政府側が米国現地の食肉処理システムを点検し、専門家らが参加した家畜防疫協議会を開いたという事実も取材されたが、これも違う内容で放送された。チョPDは「農林水産食品部に問い合わせた結果、韓国政府が米国食肉処理システムに関する情報を持っていないことを確認した」と主張した。
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