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2004年5月、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が、NHKを含む日本の主要放送局に公文書を送った。「貴社が無断使用中の朝鮮中央テレビの映像物に対して1分当たり500ドルずつの使用料を取り立てる」という内容だった。そのときまで日本の放送局が正式な契約なしに衛星を通じて受信した北朝鮮放送画面を使ってきた慣行に釘を刺すという意図だった。お金もお金だが「北朝鮮叩き」一色である日本放送の北朝鮮報道を少しでも減らそうという狙いもあったはずだ。親愛するリーダー同志まで非難または戯画化する報道は、とにかく阻まなければならないのではないか。
しかし朝鮮総連のこうした攻勢も、日本メディアの過熱競争を静めることはできなかった。北朝鮮の「北」の文字だけ入っていれば何でもニュースのネタになる現象は、2002年、日本人拉致が事実として確認され、反北朝鮮感情が起こるようになった後、著しかった。ねばりの取材と人材・物量投入でビッグな特ダネを発表した事例も少なくないが、明白な誤報や感情が介入した誇張報道もあった。
数年前、ある地上波民営放送は、北朝鮮に拉致された日本人2人を北朝鮮で撮影した写真を北脱出者から入手したと報道した。しかし写真の主人公は韓国在住の別の脱北者たちで、撮影場所も北朝鮮ではないものと確認された。礼金に目がくらんだ情報提供者にやられたのだ。南北首脳会談時、金正日総書記の周囲にいて写真に写った韓国公務員を北朝鮮の対日工作員だと指摘して報道したこともあった。根拠が脆弱か、飛躍がひどい報道も多い。「北朝鮮の原子力施設勤務者は防塵装備なしに裸で働く」という内容が放送されるので注目してみたら、証言者として出演した北脱出者は、北朝鮮で核廃棄物ではない一般ごみ処理を担当した環境美化員にすぎなかった。
先週、某放送が金正日総書記と外見が似ている韓国人男性の写真を北朝鮮の次期リーダー、金正雲(キム・ジョンウン)だと報道した事例は、いわゆる誤報の圧巻だった。「金正男(キム・ジョンナム)亡命準備中」と新聞が報道すると、翌日、当事者がテレビインタビューに出て否認したこともあった。突出行動を楽しむ金正男が、いつか本当に亡命して誤報が特ダネに変わるかもしれないが…。それでも他人のミスをとがめる境遇ではなさそうだ。北朝鮮関連最大の誤報である1986年の「金日成主席死亡」報道は韓国メディアの作品だった。筆者を含む韓国と日本の同僚記者たちに告げます。しっかりいたしましょう。
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