11日午後、ソウル広場はきれいに片付けられた。所々にくぼんだ芝生を除いては、前日大規模な集会(6.10民主化抗争の22周年を記念する大会。以下・6.10ソウル広場集会)が開かれた痕跡(こんせき)を見当たらなかった。
「6月が思ったより静かに過ぎている」。
広場を通りかかった会社員、ハン・サンイルさん(45)の言葉だ。わずか数日前までも「静かな6月」を予想した人はほとんどなかった。ゼネスト、社会の混乱、過激なデモ…。さまざまな不安の要素がこんがらがった暑い夏を見通していた。
「6月“2009・国民のろうそくデモ”を皮切りに闘争ムードを高める」(2月3日・全国民主労働組合総連盟の記者会見)。
「現政権は巨大な国民の抵抗に直面することになるだろう」(5月30日・ある市民団体の論評)。
「放っておけば、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領への追慕ムードが続き、第2のろうそくデモがやって来るかもしれない」(6月4日・ソウル警察庁の幹部「ソウル広場を封鎖した理由」について)。
しかし6月の分水界となる「6.10」が静かに終わった。大半の出席者は夜10時が過ぎて、公式のイベントが終わった直後に現場を離れた。少数が残り、警察と衝突しただけだ。11日に始まった貨物連帯の運送拒否も、やはり大きな反応を得られなかった。平沢(ピョンテク)港などで運送を拒否する事例が発生したが、物流に大きな狂いはなかった。街頭で激しいデモが続き、物流の大乱が広がった昨年のこの時期とは異なる風景だった。
「予想より静かな6月」なのはなぜだろうか。ひとまず、国民が「盧前大統領の追慕」と「政治・理念の闘争」を区分している。「弔問のムードを政治的に利用しようとしも、これに気付いてしまうほど国民は賢い」(李源宗元青瓦台政務首席)、「現政権への不満とかみ合って、弔問ムードが一時拡大されたが、急速に正常化しつつある」(李賢雨・西江大教授)ということだ。
全国民主労働組合総連盟(民主労総)の集会への動員力が弱まったのもひとつの要因だ。内部的に性的暴行をめぐる波紋が広がったことに加え、所属労組が相次いで脱退し、集結が容易でなかった。6.10ソウル広場集会に参加した民主労総所属の労組員は約1100人(双竜自動車の労組員およそ500人・政府の調べ)にすぎなかった。大学生の参加も振るわなかった。各校の旗のもとに数十人が集まっただけだった。
社会全般が仕事を分け合う「ワークシェアリング」に没頭しているのに、政治的なスローガンとストライキで人々を呼び集めにくい。韓国労働研究院のチェ・ヨンギ研究委員は「食べていくだけで精一杯の経済危機なのに、政治闘争に飛び込む組合員や会社員が多くないだろう」と述べた。
現在の懸案は昨年のろうそくデモの懸案とは性格が異なる。明智(ミョンジ)大の申律(シン・リュル、政治外交学)教授は「個人の健康にかかわってくる懸案の、米国産牛肉輸入問題をめぐるろうそくデモと、民主主義・権威主義などと言った抽象的な現在の議題は、呼応の面で大きな差が出るほかない」という見方を表した。
しかし今後の状況を楽観的にばかり見てはならないという意見もある。延世(ヨンセ)大の黄相旻(ファン・サンミン、心理学科)教授は「6.10集会が静かに終わったからといって、現政権が安心してはいけない。国民と着実に対話しなければ、民心はいつ爆発するかわからない」と話した。
「6月が思ったより静かに過ぎている」。
広場を通りかかった会社員、ハン・サンイルさん(45)の言葉だ。わずか数日前までも「静かな6月」を予想した人はほとんどなかった。ゼネスト、社会の混乱、過激なデモ…。さまざまな不安の要素がこんがらがった暑い夏を見通していた。
「6月“2009・国民のろうそくデモ”を皮切りに闘争ムードを高める」(2月3日・全国民主労働組合総連盟の記者会見)。
「現政権は巨大な国民の抵抗に直面することになるだろう」(5月30日・ある市民団体の論評)。
「放っておけば、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領への追慕ムードが続き、第2のろうそくデモがやって来るかもしれない」(6月4日・ソウル警察庁の幹部「ソウル広場を封鎖した理由」について)。
今年の「6.10民主化抗争記念大会」は当初の懸念とは異なり、比較的静かな雰囲気の中で行われ、昨年とは対照的な風景を見せた。ソウル広場で開かれた昨年の同大会では、警察の調べによると8万人、主催側の推算では70万人の人が押し寄せ、世宗路(セジョンノ)と太平路(テピョンノ)までぎっしり埋めたが、同じ場所で開かれた今年の大会は通行止めにもかかわらず、太平路ががらんとしている。警察の推算で2万2000人、主催側の推算で15万人が参加し、大きな衝突なく終わった。2枚の写真を撮影した位置は異なる。中央日報は昨年のようにプラザホテルの14階で撮影を試みたが、ホテル側が拒否したため、人権委員会のビルで写真を撮った。 |
しかし6月の分水界となる「6.10」が静かに終わった。大半の出席者は夜10時が過ぎて、公式のイベントが終わった直後に現場を離れた。少数が残り、警察と衝突しただけだ。11日に始まった貨物連帯の運送拒否も、やはり大きな反応を得られなかった。平沢(ピョンテク)港などで運送を拒否する事例が発生したが、物流に大きな狂いはなかった。街頭で激しいデモが続き、物流の大乱が広がった昨年のこの時期とは異なる風景だった。
「予想より静かな6月」なのはなぜだろうか。ひとまず、国民が「盧前大統領の追慕」と「政治・理念の闘争」を区分している。「弔問のムードを政治的に利用しようとしも、これに気付いてしまうほど国民は賢い」(李源宗元青瓦台政務首席)、「現政権への不満とかみ合って、弔問ムードが一時拡大されたが、急速に正常化しつつある」(李賢雨・西江大教授)ということだ。
全国民主労働組合総連盟(民主労総)の集会への動員力が弱まったのもひとつの要因だ。内部的に性的暴行をめぐる波紋が広がったことに加え、所属労組が相次いで脱退し、集結が容易でなかった。6.10ソウル広場集会に参加した民主労総所属の労組員は約1100人(双竜自動車の労組員およそ500人・政府の調べ)にすぎなかった。大学生の参加も振るわなかった。各校の旗のもとに数十人が集まっただけだった。
社会全般が仕事を分け合う「ワークシェアリング」に没頭しているのに、政治的なスローガンとストライキで人々を呼び集めにくい。韓国労働研究院のチェ・ヨンギ研究委員は「食べていくだけで精一杯の経済危機なのに、政治闘争に飛び込む組合員や会社員が多くないだろう」と述べた。
現在の懸案は昨年のろうそくデモの懸案とは性格が異なる。明智(ミョンジ)大の申律(シン・リュル、政治外交学)教授は「個人の健康にかかわってくる懸案の、米国産牛肉輸入問題をめぐるろうそくデモと、民主主義・権威主義などと言った抽象的な現在の議題は、呼応の面で大きな差が出るほかない」という見方を表した。
しかし今後の状況を楽観的にばかり見てはならないという意見もある。延世(ヨンセ)大の黄相旻(ファン・サンミン、心理学科)教授は「6.10集会が静かに終わったからといって、現政権が安心してはいけない。国民と着実に対話しなければ、民心はいつ爆発するかわからない」と話した。
この記事を読んで…