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【社説】民主主義後退させるのは「街頭闘争あおる政治」

韓国の民主主義が疲弊している。

昨日は6.10抗争(87年6月10日全国に広がった反独裁・民主化運動)で「直接選挙による大統領選出」を獲得し民主化を実現してから22年になる日だった。これまで着実に発展してきた民主主義が、理念の偏見に捕われた勢力のために本来の軌道を外れている。自己主張ばかりし続け、民主的な手続きと承服の原則を拒んでいるからだ。

一部教授は「韓国の民主主義が後退している」とし、リレーの形で時局宣言を発表している。社会を見る視線は人によって異なり得る。そのように人によって、集団によってそれぞれ異なる意見を合理的に受け入れ、折り合う手続きであるために民主主義が大切なのだ。


ところが有識者の時局宣言は合理的な議論につながらない。左右に分け、陣営の戦いに追い込んでいるからだ。ここに加勢している法曹界・文学界・宗教界の一部人物も事情が変わらない。より深刻なのは、社会的対立を制度の中に受け入れ、解いていくべき責任がある最大野党までここに便乗し、むしろあおっているという点だ。

議会民主主義の中核にあたる国会の扉を閉じたまま、街頭へ向かって何をするということなのかさっぱり分からない。自分の主張が貫徹されないからといって、その度、国会を捨てて街で多衆の力を動員し解決すると意地を張っていたら、民主的な手続きと価値は居場所がなくなる。民主主義が後退している、という根拠に「李明博(イ・ミョンバク)政権が一方的に政策を進めている点」を挙げる。

民主主義とは、各政党が自党の政策を掲げ、投票で審判を受けることだ。政権党の政策に反対することはできる。だから国会も必要なのだ。かと言って自分の政策を登院の条件に掲げるのは選挙結果への不服であり、民主主義を破壊する行為だ。集会・デモと表現の自由など基本権が後退している、という主張もある。

政府の一部判断に問題点があるというのは本紙も指摘してきた。しかし、それが国会を捨てて場外闘争へ向かう名分にはなりえない。盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権も、李明博政権より集会を認めていない。民主党政権は国税庁を前面に出し、中央日報など有力紙を圧迫した。政府の金を受け取る「黄衛兵」(訳注:黄色は盧前大統領を象徴する色)らが批判的論調のマスコミを抑圧するために走り回った。

今どこを見回っても「そのときより表現の自由が抑圧されている」という根拠を探しにくい。しかも盧前大統領の容疑が捕捉されると「聖域なく徹底的に捜査すべき」と主張したのが民主党だ。

▽兵風事件(02年の大統領選で李会昌氏息子の兵役忌避を政治的に利用した事件)▽マスコミ各社への税務調査--など政治的事件ごとに捜査情報を流し、人民裁判を誘導してきたそれらが、捜査情報の流出だけを掲げ「政治的他殺」に追い込むのは行きすぎている。今後も退任した大統領経験者に不正があっても伏せておくべきだというのか。

抵抗権は民主主義を守る最後の手段でなければならない。国会議員の身分を利用してソウル広場を占拠し「民主主義は血によって育つ」と叫べるほど民主党がやるべきことをすべてやったのかを振り返ってみるべきだ。民生につながる法案の処理には背を向けたまま、追慕の情緒に便乗し、政治的利益を狙う浅はかな行動こそ民主主義の敵といえる。



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