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【コラム】トヨタを追う現代・起亜車

世界最高の技術力と生産性を誇る企業もグローバル経済危機には打つ手がないのか。 昨年まで世界自動車業界を率いた日本のトヨタ自動車の勢いが急速に弱まった。 2007会計年度に2兆7000億ウォン(約2100億円)で最高の黒字を記録したトヨタが、わずか1年で4610億円の最悪の赤字に転換したのだ。 それだけではない。 今年に入ってトヨタの格付けが実績の悪化と自動車産業全般の需要減少を理由に最高水準から一つ下がった。 先月発表された日本の人気職場ランキングでトヨタは昨年の6位から96位に急落した。

果たしてトヨタに何があったのか。 同じ自動車業界だけでなく他の業種の企業までが追従してきたいわゆるトヨタ方式(Toyota Way)に何か問題でも生じたのか。

トヨタ方式とは、トヨタが1950年代以降に発展させてきた生産工程管理方式だ。 代表的なのが、無駄を省くという意味のリーン(lean)生産方式。 原資材の購入から完成品の伝達にいたるまで全過程で時間と物資の浪費をなくし、顧客が望む製品を希望の時間に最上の品質と低廉な価格で提供する、というものだ。 いわゆる看板方式(Just In Time)もトヨタが創案した革新的な生産管理技術の一つだ。 生産工程の核段階で作業量を調整することで中間在庫を最小限に減らす管理システムをいう。 生産の流れに沿って品名・品番・所要量などが書かれた看板を移動させながら作業を進めるため、こうした名前が付けられた。


こうしたトヨタ方式が経済危機や不況だからといって問題になったり変化したりする必要はない。 むしろ経済危機や不況時には生産工程の効率化がよりいっそう重要となる。 トヨタ方式は今でもトヨタの各工場で実践され、世界企業のベンチマーキング対象になっている。

トヨタの墜落は生産効率が突然落ちたためではない。 それよりも経営陣の判断ミスが決定的な要因だ。 世界自動車市場が飽和状態を越えているにもかかわらず無理に海外工場を増やしたのが災いとなった。 94年に100万台だった海外生産能力を昨年末までに500万台に増やした。 昨年トヨタは国内外で930万台を販売、ついに宿敵GMを抜いて世界1位の自動車メーカーになった。 しかし栄光はつかの間で、すぐに苦難の時間が訪れた。 経済危機で需要が急減した中、日本円が急騰したのだ。 生産した車は売れず、車が売れても為替レートのため損失が出るという最悪の状況に追い込まれた。 どんなに生産工程をよく管理しても、車が売れなかったり、売れても損失が出ればどうしようもない。 最近、トヨタの海外工場経営人材に問題があるという声が出ているほか、消費者の間ではトヨタが自負してきた品質に対する評判も悪化し始めた。

このスキに韓国の現代・起亜(ヒョンデ・キア)車が好機をつかんだ。 米国のビッグ3はもちろん、トヨタを含む主要自動車会社の米国市場販売台数が急減した中、現代・起亜車は販売台数を増やしてシェアを高めたのだ。 トヨタに追いつく絶好の機会という報道もある。 しかし現代・起亜車がトヨタに追いつくという期待はあまりにも性急だ。 現代・起亜車が海外市場で善戦しているのは、トヨタとは反対にウォン安の要因が大きいからだ。 円安ウォン高に転じていつ状況が逆転するか分からないということだ。 この場合、国内外で生産設備増設競争を繰り広げてきた現代車も安心できない。 わずか7年で生産能力を600万台に増やした現代・起亜車の攻撃的経営がいつブーメランになって戻ってくるか分からないからだ。

現代・起亜車の競争力はトヨタに大きく及ばないのが現実だ。 ウォン安効果のハンディキャップを除けば、まだ海外市場でトヨタと争える立場ではない。 いまは大変な時期を迎えているが、トヨタの競争力は依然として世界最強であり、トヨタ方式も有効だ。 トヨタの経営陣からは学ぶことがないが、トヨタ方式からはまだ学ぶべきことが多いようだ。



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