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「尊厳死」判決後の課題は…

 延命治療の中断を認める最高裁の初めての判例が出たが、前途は遠いというのが専門家らの共通した意見だ。今回の判決は基本的な原則を提示したもので、さまざまな複雑な事例が発生する医療現場にすぐに適用するのは容易でない、ということだ。また尊厳死の乱用を防ぐための制度的補完も必要だ。

◇意味と限界=ソウル大病院血液腫よう内科の許大錫(ホ・デソク)教授は21日、「今回の最高裁判決は無意味な生命延長を望まない患者の意見を尊重した初めての事例だという点で意味がある」とし「ただ、最小限の基準であるため、大韓医師協会レベルでさまざまな状況に備えた医学的な判断基準を決める必要がある」と述べた。

米国では米国医師協会(AMA)が定めた指針に従っている。ドイツでもドイツ医師協会の指針が法的効力を持つ。


天主教のイ・ドンイク生命委員会担当神父は「今回の判決を一律的に適用すれば危険だ。法的に解決するよりも各病院の倫理委員会を活性化すべきだ」と主張した。

◇安全装置が必要=尊厳死が持続的に社会的な同意を得るためには、最高裁が延命治療中断の主要根拠とした患者の自己決定権を確実に保障する制度が必要だ。患者が「事前医療指示書」を書いておけば比較的簡単だ。しかし今回のセブランス病院の患者のように事前医療指示書がない場合、事実上、患者ではなく家族が生命を維持するかどうかを決めることになる。

18日に国内で初めての事前医療指示書を作成したソウル大病院のように代理人を認めるかどうかも論議の対象だ。代理人を決める方法も問題だ。ソウル大病院は特別な方法を提示しなかった。しかし誤用の可能性を挙げて、病院倫理委員会や裁判所の承認を受ける必要があるという意見もある。

檀国(ダングク)大法学部のイ・ソクベ教授は「今回のセブランス病院の患者は脳死者ではなく、ソウル大病院が尊厳死の基準とする末期がん患者でもない」とし「今回の判例で長期植物状態の患者にまで尊厳死が乱用されないか懸念される」と述べた。イ教授は代案として、患者や家族の延命治療中断要求を拒否できる権利を医療スタッフに与えることを提案した。

韓国生命倫理学会の全芳郁(チョン・バンウク)学会長(江陵原州大教授)学会長は「医学的に不必要な治療のためなら尊厳死を認めても関係ないが、現実では経済的な理由で治療を打ち切る場合が多い」とし「これをどのように防ぐのか悩まなければならない」と述べた。

国立がんセンターのユン・ヨンホ企画調整室長は「最近の研究の結果、国内の末期患者と家族の意見の一致度は0.4(完全に違えば0、一致すれば1)にすぎなかった」とし「患者に病気の状態を正確に知らせてこそ患者が家族などを代理人に指定できる」と述べた。国立がんセンターなどによると、死を控えた患者に対して病気の状態を正確に知らせる割合は10%にもならないという。

ソウル大医大の李允聖(イ・ユンソン)教授(法医学)も「患者に病気の状態とどんな治療が残っているのかを正確に知らせなければならず、延命治療の正確な意味まで知らせてこそ事前医療指示書がきちんと機能する」と述べた。

◇今後の日程=立法も今後残された大きな課題だ。全在姫(チョン・ジェヒ)保健福祉家族部長官は「生命に関する重要な決定であるため、尊厳死関連法を作る前に十分に討論が必要だ」と述べた。

福祉部のクァク・スクヨン生命倫理安全課長は「最高裁が延命治療中断を認めただけに立法も早まるだろうが、悪用の余地がないよう法的整備が必要だ」と強調した。

現在、国会には申相珍(シン・サンジン)議員(ハンナラ党)の尊厳死法が発議されている。金世淵(キム・セヨン)議員(ハンナラ党)は22日、「最後の段階で自然に死を迎える権利に関する法律」を発議する。この案は、「生命延長措置拒否事前決定書」を書いて公証を受けるようにし、これがない場合は家族の言葉を借りて患者の意志を推定できないようにしている。



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