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【社説】ソウル大病院の「尊厳死」の第一歩を歓迎したい

金寿煥(キム・スファン)枢機卿が無意味な延命治療を拒否、死去したのをきっかけに、韓国社会で「ウェルダイイング(well-dying)」への関心が大きく高まった。

蘇生する見込みのない患者に各種の機械や装置を付着し、苦しく人生を終えさせる慣行が、果たして正しいものか、についての反省が始まったのだ。ソウル大学病院が国内初めて、事前の医療指示書を公式に導入し、患者が自ら延命治療を選べるようにしたのも、こうした社会的な雰囲気に支えられた部分が大きい。

病院側は議論の可能性を減らすため、対象を「これ以上抗がん治療が効かなくなった末期がんの患者」に限定した。また、事前に、患者の病状が良好な状況で拒否権を与える措置であり、すでに施行中の延命治療を中断するものではないという点を強調した。とにかく世論のバッシングを恐れ、長い歳月にわたり公論化すら忌避してきた「尊厳死」の第一歩をソウル大病院が率先し踏みだしたのは、勇気ある措置といわざるを得ない。


本紙は、これまで患者本人の意志とは無関係かつ、家族に大きな苦痛を与える無意味な延命治療に対し、反対の立場を明らかにしてきた。ただ、同制度が悪用されないよう具体的な基準と方式を定めた立法の必要性を強調した。しかし今年初め、国会に発議された尊厳死関連法案は3月に開かれた公聴会で、宗教界などが激しく反発し、常任委員会に上程すらできなかった。

たまたま植物状態に陥ったキム某さんの家族が、人工呼吸器を外すよう求めた上告審の判決が明日下される。万一、第1、2審の裁判と同じく、最高裁が原告に勝訴判決を下す場合、今後、立法化が加速化するものとみられる。半面、正反対の判決が下されれば、尊厳死の立法は再び原点に戻る公算が高い。現行の刑法上、殺害幇助罪として処罰を受けるかもしれないにもかかわらず、すでに医療の現場では暗々裏に延命治療の中断が行われている。

ソウル大病院がこれを陽性化する道を開けたものの、法的効力がないという限界がある。これ以上の混乱を防ぐには、最小限の社会的な合意を成した部分に限ってでも、法制化が必要だ。患者が心肺蘇生(そせい)術、人工呼吸器など治療の継続をあらかじめ選ぶ「事前医療指示書」の場合、昨年国立がんセンターが行った世論調査によると、国民の93%が賛成した。政府と国会はこれ以上先送りばかりせず、韓国社会に適した制度的な装置を築かねばならない。



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