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【コラム】開城工団職員抑留問題、別のチャンネルで扱うべき

北朝鮮が開城(ケソン)工業団地の関連法規や既存契約の無効を一方的に宣言したことにより、同事業が瀬戸際に立たされている。

北朝鮮は李明博(イ・ミョンバク)政権が発足してから2カ月後に韓国当局を露骨に非難しはじめ、オバマ米政権発足から3カ月後に国際社会の懸念と反対にもかかわらず、長距離弾道ミサイルの発射に踏み込んだ。こうしたことからわかるように、北朝鮮の「突然かつむやみな行為」は徐々に悪化していく様相となっている。

2012年までの「経済超大国入り」を目指す北朝鮮としては躁急(そうきゅう)になるほかない。だが、北朝鮮の取り組み方は明らかに誤った行動であり、経済超大国という目標達成には全くプラスにならない。経済強国になりたいという北朝鮮が、開城工業団地事業の中断も辞さないとするのは明確な「逆走」と言える。


今年4月ベースで韓国企業104社が生産ラインを稼働し、3万8000人の北朝鮮労働者が働いている開城工団事業は、厳しい北朝鮮経済の回生を支えており、今後拡大、発展できる潜在力を持っているからだ。それにもかかわらず北朝鮮が無理な「逆走」に踏み切ろうとするのは、南北(韓国・北朝鮮)関係をチキンレースの状況に追い込み、韓国政府から譲歩を獲得しようというのがその意図だ。

北朝鮮が「抑留中の現代峨山(ヒョンデ・アサン)職員」のカードを握っている状況で、韓国側を、負担となる同時勝利(win-and-win)に追い込む局面だと言える。「逐次勝利(win-hold-win)」すればいい北朝鮮に比べ、はるかに厳しい状況だ。

こうした脈絡から、北朝鮮は現代峨山職員抑留問題を政治的な懸案と定義付け、開城工団事業問題とは分離し、両問題に順次取り組んでいくという思惑なのだ。北朝鮮の危うい逆走からの被害を減らし、両ゲームを成功させる方策は何だろうか。逐次勝利のゲームを繰り広げて開城工団事業問題の解決に力を注ぐと同時に、現代峨山職員抑留問題の解決に向けた新しい「枠組み」をもう一つ作る、いわゆる分離・並行の処理方式を検討する必要がある。

こうすることによって、両問題のそれぞれへの影響を最少化できる。この方式は次のような現実認識に基づいている。第一、北朝鮮が現代峨山職員抑留問題を政治的な懸案として定義付けた以上、開城工団事業問題と同じ枠組みでは解決の糸口を見出しにくくなった。第二に、現代峨山職員抑留問題の解決は「自国民の保護」という国家本然の任務として一時もないがしろにできない懸案だという点を始終堅持しなければいけない。第三には、開城工団事業に関連した合意の見直し・補充・廃棄は必ず交渉を通じて行うべきだという原則と先例を作らねばならない。

問題はどんな形の枠組みを作るかにかかっている。赤十字会談の提案が代案になり得ると考える。抑留問題を人道レベルの懸案と定義付け、政府が絶えず解決に努めるという意志を、国民に、北朝鮮に、そしてほかの国家にアピールするきっかけになるだろう。開城工団事業を中断するかどうかの問題については、韓国、北朝鮮当局ではなく、開城工団を生活の基盤としている「開城工団の人々」の選択と決定が最も尊重されるべきだ。瀬戸際での劇的な解決が、より深い感動を与えうるという希望を持ち、あきらめてはならない。



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