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【BOOK】奥田英朗の 「ウランバーナの森」を読んで

「怪しい医師とジョン・レノンの意味深長な便秘脱出記!」

日本の作家、奥田英朗の小説「ポップスター ジョンの怪しい休暇」(原題:ウランバーナの森)(ブックストーリー)の韓国語翻訳版の裏表紙に載せられた言葉だ。初めてこの本を手にしたときは「便秘脱出記」というやや露骨な表現に目が行った。天下のジョン・レノンが便秘で苦労したあげく脱出する話だとは、ビートルズのビの字も知らない門外漢でも、その知名度に一度は騙されそうな言葉だった。しかしこの本のポイントは文末の「便秘脱出記」ではなく、その前にある「意味深長な」という語句にあった。

話はジョンが夏の休暇を過ごす日本の軽井沢で始まる。暑い夏、夏バテしたかのようになってジョンは幻覚と悪夢にうなされ、下腹部に重い痛みを感じる。どんどん強くなる苦痛に耐えられずに病院を訪ねるが、特に変化もない。それに担当医はジョンの診療が終わるやいなや荷物をまとめ、休暇を取って出かけてしまう。当然いい加減にされた診療と処方が通じるわけがなかった。ジョンは続く痛みに苦しみ続けるが、ここまで読むと休暇が怪しいのではなく、ジョンという人物そのものが怪しい。いったい彼には何が、なぜ起こっているのだろう。




本の冒頭でジョンがパン店で幻覚に襲われ、その後、過去の良くない事件に縛られた人物たちにジョンの記憶の中でいじめられる。このときジョンはまた別の医師を訪ねる。腐った頼みの綱でもつかむ思いで病院を訪れたジョンは、いよいよジョンの休暇より、そしてそのジョンそのものよりずっと怪しい医師と向かい合う。彼の治療のおかげでジョンの怪しい休暇は平穏な休暇に変わる。

ここで登場する、主人公ジョンよりもっと主人公のような役割をする医師は、作家のほかの作品に登場するキャラクターである伊良部医師だ。奥田の「伊良部」が好きな人ならジョンの怪しい休暇にくわわってみるのもよさそうだ。

ただし注意事項がひとつ。本の中の医者の言葉のように、この本を読む前には固定観念と先入観はすべて振り払おう。既存のビートルズがどうで、ジョン・レノンという人は本来こうだった、などといちいち比べながら本を読むと作品の魅力とメッセージを逃しやすいからだ。



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