ニューヨークで会った国内一流電子企業の幹部から「中国のライバル会社のことは心配しなくても良かったよ」という豪言を聞いたことがある。中国警戒論が広がると思っていたので、ちょっとうれしい話だった。理由が意外だった。技術格差のようなものではなかった。「中国に行ってみたら現地の人たちはお金さえ儲かれば高い韓国製や日本製の携帯電話やテレビばかりを求めて自国製品にはそっぽを向いていた」ということだったのだ。外国製を持つことが身分上昇の兆候として通じるからだそうだ。「以来、中国製が高級品として浮上することはない」とこの幹部は壮語した。
言いかえると国内企業は国民の国産品愛用で芽を開かせることができたが、中国企業はそんな潤った土壌がないという話だ。今はソニー、パナソニックを見下すほど大きくなった国内電子企業だが、1980、90年代は外国製に比べていまひとつだった。若者の間ではソニーウォークマンが羨望の対象で、米国の駐在員なら通例日本製のテレビ、米国製の冷蔵庫を持ちこんだ時代があった。それでも韓国人消費者たちは何であれ無条件、国産品を使わなければならないと信じた。どうせなら国産品を買ってあげようという心がしみついていた。最近会ったある同胞も「ずっと買おうと思ってきた韓国車を買った」とし「移住して30年たってようやく心の荷を軽くした」と話した。法的に米国人になってからも頭を離れない故郷の車を買わなかったことが心の隅に重たい塊となって残っていたのだ。
いくら性能が良くて安くても、外国製は関税が高く、考えもできなかった。85年の記事を見ると462ドルした20インチ日本製ナショナル(パナソニック)のテレビは関税40%で、税金・マージンまで含めて130万ウォンは出さなければならなかった。当時のレートで換算すれば40万ウォン(約3万円)だった日本製のテレビを、3倍以上の値段で買わなければならなかったことになる。同じ大きさの国産テレビは50万ウォンだった。
ところでこうした国民の保護の中から大きくなってきた韓国の大企業が、どうしたことか海外に出れば韓人たちの眼中にはないようだ。国家ブランド改善に役立つだろうにもかかわらず、三星、LG、現代どこひとつ韓国企業であることを表さなくなって久しい。そこまではそうだとしても、これらの企業の製品を米国で買うと、6カ国語、8カ国語で印刷された使用マニュアルにハングルがない。スペイン語、フランス語に中国本土の人のための簡体字漢文はもちろん、台湾人たちが使う繁体字漢文まであるのにだ。韓人数が多くなり、ニューヨークの地下鉄の自動券売機にもハングルが書かれている。ニューヨーク現代美術館(MoMA)、メトロポリタンミュージアムなど、どこの博物館に行ってもたいていはハングルのパンフレットが備えられてあるのがこのごろの米国だ。むしろ米国企業のフィリップスなど、外国企業の製品にハングルの使用マニュアルが含まれている場合もある。いくら韓国大企業のターゲットが韓人社会ではないグローバルマーケットだとしても、ハングルのマニュアルを入れる小さな思いやりが、これを害するわけがない。
このごろ米国国内の韓人留学生と同胞の若者たちを相手にした就職フェアが開かれるといっても韓国企業は参加しようとしない。「求める人材が多くないから」というのが表向きの理由だが、自分たちを大きくしてくれた国民に対する最小限の礼儀を忘れたようだ。
言いかえると国内企業は国民の国産品愛用で芽を開かせることができたが、中国企業はそんな潤った土壌がないという話だ。今はソニー、パナソニックを見下すほど大きくなった国内電子企業だが、1980、90年代は外国製に比べていまひとつだった。若者の間ではソニーウォークマンが羨望の対象で、米国の駐在員なら通例日本製のテレビ、米国製の冷蔵庫を持ちこんだ時代があった。それでも韓国人消費者たちは何であれ無条件、国産品を使わなければならないと信じた。どうせなら国産品を買ってあげようという心がしみついていた。最近会ったある同胞も「ずっと買おうと思ってきた韓国車を買った」とし「移住して30年たってようやく心の荷を軽くした」と話した。法的に米国人になってからも頭を離れない故郷の車を買わなかったことが心の隅に重たい塊となって残っていたのだ。
いくら性能が良くて安くても、外国製は関税が高く、考えもできなかった。85年の記事を見ると462ドルした20インチ日本製ナショナル(パナソニック)のテレビは関税40%で、税金・マージンまで含めて130万ウォンは出さなければならなかった。当時のレートで換算すれば40万ウォン(約3万円)だった日本製のテレビを、3倍以上の値段で買わなければならなかったことになる。同じ大きさの国産テレビは50万ウォンだった。
ところでこうした国民の保護の中から大きくなってきた韓国の大企業が、どうしたことか海外に出れば韓人たちの眼中にはないようだ。国家ブランド改善に役立つだろうにもかかわらず、三星、LG、現代どこひとつ韓国企業であることを表さなくなって久しい。そこまではそうだとしても、これらの企業の製品を米国で買うと、6カ国語、8カ国語で印刷された使用マニュアルにハングルがない。スペイン語、フランス語に中国本土の人のための簡体字漢文はもちろん、台湾人たちが使う繁体字漢文まであるのにだ。韓人数が多くなり、ニューヨークの地下鉄の自動券売機にもハングルが書かれている。ニューヨーク現代美術館(MoMA)、メトロポリタンミュージアムなど、どこの博物館に行ってもたいていはハングルのパンフレットが備えられてあるのがこのごろの米国だ。むしろ米国企業のフィリップスなど、外国企業の製品にハングルの使用マニュアルが含まれている場合もある。いくら韓国大企業のターゲットが韓人社会ではないグローバルマーケットだとしても、ハングルのマニュアルを入れる小さな思いやりが、これを害するわけがない。
このごろ米国国内の韓人留学生と同胞の若者たちを相手にした就職フェアが開かれるといっても韓国企業は参加しようとしない。「求める人材が多くないから」というのが表向きの理由だが、自分たちを大きくしてくれた国民に対する最小限の礼儀を忘れたようだ。
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