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同じ点もあり、異なる点もあった。大統領経験者が検察に出頭したのは3回目となる。家を出るときの場面は異なった。95年12月、全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領は1800字にのぼる声明を自宅前の路地で読み上げた。30日の朝、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の所感は3つの言葉だった。
「インターネット上の政治」の達人にとって、声明の朗読はぎこちない。その代わり、同氏が選んだ簡潔さは強烈だった。「国民の皆さんに面目ない。失望感を与えることになり、申し訳ない」。同氏の顔には悔恨と悲感が混ざった。辛く、気まずい微笑みを浮かべた。そして「行ってまいります」、最後の一言は法理論争への自信、「容疑なし」への確信であろう。
午後1時20分、最高検の庁舎に到着した際、同氏の表情は固くなっていた。法律家としての「防御」の本能が蘇ったのか。錯雑さの中で毅然さも表情の片すみにあった。同氏が立ったフォトラインは不名誉の儀典だ。その瞬間は短いが、その一日を最も長くさせる。「権不5年、無常な権力」を実感させた。
14年前に全斗煥氏が路地で読み上げた声明は抵抗だった。「過去の歴史を否定するもの」と対抗した。そして、故郷の陜川(ハプチョン)へ向かった。金泳三(キム・ヨンサム)氏の文民政権は軍事政権の象徴を逮捕、連行した。歴史が進展する荒々しい轟音(ごうおん)が響き渡った。緊迫感は異なった。当時、軍事反乱首魁の容疑(全元大統領)は大げさかつ不慣れなものだった。
現在の「真実ゲーム」の主要命題は「妻がしたことを、夫は知らなかった」ということだ。素朴ながらも、粗末な三流ドラマである。その違いだけに、緊張感は質的に異なる。盧武鉉一家が受け取った賄賂(わいろ)の金額は相対的に少ない。全斗煥、盧泰愚(ノ・テウ)両政権で行われていた具合の、政界と財界の癒着ではない。しかし権力の腐敗は奇怪な変種をした。地方の土豪のような企業家と結託した。
靴メーカー「泰光(テグァン)実業」の会長、朴淵次(パク・ヨンチャ)被告が渡した「1億ウォン(約760万円)の高級ブランドの時計」という贈り物は、変種の鮮明な事例といえる。盧武鉉氏の政治的な人生はジェットコースターだ。反転と曲折で目まいがする。第5共和国の聴聞会のスター→落選・当選の交差→大統領、そして同氏の表現通りどん底に陥った。墜落の主な原因は人事の失敗だ。盧政権の権力のインナーサークルはコード、「親盧」の純血主義だ。「それらは▽道徳性の排他的な優越感▽理念の偏見--から、洞窟(どうくつ)の偶像に捕われてしまった。偽善と同類意識は大きくなった」(キム・ホジン高麗大名誉教授)。
異なるようで似ている大統領経験者の墜落(2)
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