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盧武鉉前大統領の反撃、検察のカードは
「死に物狂いで捜査に取り組んでいる」--。
林采珍(イム・チェジン、写真)検察総長は10日、最近の心境をこうした一言で表現した。
最高検察庁中央捜査部の「朴淵次(パク・ヨンチャ)リスト」関連捜査が盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領を直接狙っていることを言った言葉だ。「盧前大統領を捜査することは難しくないのか」と問うと林総長は「金と係わる問題をめぐり真っ向勝負する」と断言した。
林総長は普段あれこれ心配事(韓国語でコクチョン)が多いとし「イム・コクチョン」(注釈:林巨正=朝鮮時代の義賊=と発音が同じ)というニックネームが付いた。
今回は違って見えた。
彼は盧武鉉政権の最後の検察総長だ。新たに入った李明博政権とつながりはない。それだけに紆余曲折もあった。しかし昨年末、盧建平(ノ・ゴンピョン)氏の捜査で勢いをあげた後、2009年4月には盧前大統領と李大統領の最側近である千信一(チョン・シニル)セジュンナモ旅行会長の2頭の牡牛を同時に追っている。林総長は、朴淵次会長から金を受け取った人々が捜査対象であり、大統領選挙資金捜査ではないと線引きした。
烽下村と瑞草洞の頭脳戦
最高検察庁中央捜査部の正面対決の相手は盧前大統領だ。大統領職を終えるまで盧前大統領は常に先制攻撃で難局を突破してきた。既得権を捨て勝負に出て、相手を制圧することは盧前大統領の得意技だ。2002年、大統領選挙候補予備選挙のときもそうだったし、鄭夢準(チョン・モンジュン)候補との一本化論議のときもそうだった。
今度も特に違わない。
盧前大統領が7日、突然自分のホームページである「人が暮らす世の中」(http://www.knowhow.or.kr)に「お詫びいたします」という文を書いた。自分の家を買った鄭相文(チョンサンムン)前総務秘書官が検察に緊急逮捕され、数時間経った後だった。盧前大統領は謝罪文で、自分は知らなかったし、私の妻(権良淑)がお願いして金をもらって使ったと主張した。
こうした主張は判事と弁護士を経た法曹家盧武鉉が選択した防衛戦略だ。そのときまで、検察は盧前大統領と権良淑氏に金が渡った事実について知らなかったという。盧前大統領が先に自分の疑いを公開したのだ。
過去、全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領が機密費事件で検察捜査を受けたとき、代理人を立てたのとは違う。盧前大統領が暮らす烽下(ポンハ)村と瑞草洞にある最高検察庁の頭脳戦だ。
盧前大統領の反撃は効果があった。検察は捜査の優先順位を調整した。APC口座の500万ドルに焦点が合わせられた捜査の範囲が広くなり、直接調査速度も早まった。
盧前大統領側の反撃は続く。朴会長から受けとった金を自分がすべて使ったとしていたチョン氏はその後「権良淑氏に100万ドルと現金3億ウォンをすべて渡した」と供述を変えた。盧前大統領の支持者たちは「勇気がある」や「在任中にその程度しか受けとらなかったとは、やはり盧大統領は最高だ」というなどの文を書きこんだ。ハンナラ党の一部では再・補欠選挙に向かい風となって作用しないか懸念する姿もある。
盧前大統領の危機克服戦術は彼が退任直後、借用証を使って朴会長から15億ウォンを受け取っていた事実が明らかになったときと義理のおいヨン・チョルホ容疑者が朴会長から500万ドルを受け取ったものと明らかになったときも駆使された。証拠不足という理由が付いたが、チョン氏に対する逮捕状は10日、裁判所で棄却された。この事件で逮捕状が請求された人の中では初めてだ。
検察はいったんは衝撃を受けた姿だった。しかし冷静に対処した。令状棄却がむしろ前職大統領に対する直接の調査を繰り上げるきっかけになることもあるとみている。検察はまさに「エビで鯛を釣ろう」としているのだ。
→(2)捜査のために中央捜査部強化、勝者は誰?
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