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【社説】中ロも北ミサイル国際制裁に歩調合せるべき

北朝鮮による長距離弾道ミサイルの発射を受け、国連安保理が昨日招集されたが、何の結論も出せないまま初日の会議を終えた。米国・英国・フランスなどは、北朝鮮のミサイル発射が06年に採択した安保理決議1718号の「弾道ミサイル開発禁止」条項違反であり、追加の制裁措置が必要だ、という立場を表明した。一方、中国とロシアは、北朝鮮が人工衛星の打ち上げだと主張しているだけに「主権国家の宇宙領域探査」と見なすべきだと主張した。

協議が続くとしても中国とロシアが立場を変えることを期待するのは難しい。長距離弾道ミサイルの飛翔体に転用できるロケットを発射したことで、北朝鮮は明確に「挑発的な行動」に踏み切った。にもかかわらず、安保理で拒否権を持つ中ロ両国がブレーキをかけたことで、事実上、何もなかったかのように終わってしまう雰囲気が強まっているのだ。悪い行動を処罰せずに済ませることで招かれる将来の危険に対し、中国とロシアが責任を取るという意味なのか聞きたい。

しかも、北朝鮮が人工衛星だと主張する搭載物は軌道に到達しなかったことが分かっている。北朝鮮の主張を確認できる方法がなくなるということだ。百歩譲って人工衛星の打ち上げを試みたものだったとしても、弾道ミサイルに使われる飛翔体と同一の技術である点ははっきりしている。にもかかわらず中国とロシアは北朝鮮側の主張をもとに「公平性を持った慎重な対応」を強調している。むしろ、中ロ両国が北朝鮮の挑発的な行動に目をつぶる不公平な対応をとっているのではないのか。


北朝鮮はすでに核実験を行っており、核弾頭の小型化にも一定の進展を得たとされる。ここに大陸間弾道ミサイル(ICBM)並みの飛翔体技術まで確保した場合、予想される影響は想像するだけでもぞっとする。ひとまず中国とロシアとしては、米国が進めているミサイル防衛(MD)システム構築に反対できる名分がなくなる。日本にとっては軍備強化に拍車をかけられる絶好のチャンスとなる。読売新聞の世論調査によると、北朝鮮の今回のロケット発射に、日本国民の88%が不安を感じ、60%以上が防衛費の増額に賛成した。韓国も黙ってはいないはずだ。300キロに制限された弾道ミサイルの射程制限を解除すべきだという声が早くも高まっている。

北朝鮮の挑発的な行動には目をとじながらも北東アジアの安定とバランスが維持されるのを望むのであれば、これは矛盾している。何がバランスの取れた対応かをよく考えれば、中ロ両国も安保理が決める実効的な北朝鮮制裁に反対することはできないはずだ。



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