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「発射できなかったのではなく、発射しなかった」。
咸境北道(ハムギョンブクド)舞水端(ムスダン)ミサイル発射基地を緊張の中で見守った情報当局は4日午後、こういう暫定結論を下したという。 この日、北朝鮮の発射を難しくする気象の悪化など決定的阻害要因はなかった、という判断に基づくものだ。 また発射が迫っている徴候もなかったということだ。
ある関係者は「前日(3日)に比べて大きな進展や特異動向といえるほどのカウントダウンの動きは観測されなかった」と説明した。 この関係者によると、韓米情報当局は4日早朝から早期警報衛星DSPと偵察衛星KH-11、RC-135S(コブラボール)など、あらゆる対北朝鮮監視網を動員して舞水端発射基地に注目し、発射時の軌道追跡にも対応した。
発射場の周辺が整理整頓され、観測レーダーが動き始めるのは代表的な発射間近の徴候だ。 発射台のアーム(arm)が外されるのはロケットが火炎を噴出する直前のことだ。 午前に外賓や研究機関責任者を乗せた車が登場したとすれば、その日に発射されるという決定的な判断根拠になる、というのが関係者らの説明だ。 しかしこの日、こうした動きは見られなかった。
当初「雲が多いため偵察衛星による韓米側のロケット発射監視が難しい」という観測もあった。 しかし大きな支障をきたすほどではなく、舞水端の状況を比較的広々と眺めることができたという。 こうした状況を総合し、情報当局はいち早く「4日中の発射は不可能」という結論を下したという。 こうした情報判断は李明博(イ・ミョンバク)大統領が主宰した安保関係長官会議にも報告された。 このため、昼12時過ぎに日本のNHKが「飛翔体発射」と緊急報道した当時、韓国の情報当局者らが慌しく緊急確認に動くという騒ぎもあった。
情報当局は北朝鮮がまだ発射カウントダウン水準の準備に入っていないとみている。 これと関連し、関係者は「北朝鮮は戦略的価値が極大化される発射時点を選ぶため、韓米日など関連国のメディア動向まで綿密に見守っているはずだ」と話した。 初日を避けたのは、日本の迎撃の試みを含む脅威の要因を避けようという意味もある、というのが当局の分析だ。 日本をはじめとする関連国の緊張感が最も高い4日の発射を避けたということだ。
当局は北朝鮮がミサイル発射をめぐり高度な心理戦を繰り広げる点にも注目している。 北朝鮮は自ら予告した発射時間帯(4-8日中の毎日午前11時から午後4時まで)が始まる1時間前(10時)、異例にも官営中央通信を通じて「準備が完了し、衛星を間もなく打ち上げる」と事前報道した。 しかしこの日は発射しなかった。 政府関係者は「世界の耳目を舞水端里に集中させておき、対外的なメッセージを送った」と分析した。 これは「いつでも発射できる」という緊張感を高めながら、「発射時点はわれわれが決める」という機先を制する形で事態を展開していくという意図と考えられる。 この関係者は「北朝鮮の準備状況と対外的な宣伝が一致していない点にも注目している」と伝えた。
4日の発射を先送りしたのは、5日の舞水端現地の天気が発射に最適である点も考慮されたためという評価も、情報当局は出している。 平壌(ピョンヤン)放送は4日の報道で「朝鮮東海中部北側海上の西風が秒速8-12メートル」と予報した。 しかし海と接しているとはいえ、発射場は天気が良いというのが情報当局の予想だ。 だが、5日に北朝鮮が発射を実行すると断定するのは難しいという。 北朝鮮が国際的な関心が注がれている今の状況をもう少し楽しむ可能性もあるからだ。 午前9-10時ごろの舞水端現地の状況をチェックしてこそ、5日の動きを予想できるという説明だ。
情報当局はロケット発射とともに金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の動向にも注視している。 「金委員長が先月27日、クソン工作機械工場を現地指導した」という報道があった後、公開活動が消えた。 活発に動いていた金委員長の情報がなくなると、「ロケット発射という緊張局面で身辺を保護するため」という観測も出てきた。 北部地域の特閣(別荘)に移ったか、舞水端近隣でロケット関連報告を受けている、という説もある。 当局者は「金正日は4日現在、平壌でロケット関連状況を総括指揮していると把握している」と話した。
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