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1979年3月28日午前4時、米国ペンシルバニア州スリーマイル島の原子力発電所2号基。水蒸気を水に戻す複数の脱煙装置の空気パイプ中に水100ミリリットルが逆流した。コップ1杯の分量にしかならない少量なのに、オートメーションは深刻な状況だと認識し、すべての給水バルブを止めてしまった。冷却塔機能がまひし、圧力に勝てない水蒸気が出て炉心は溶けだした。
86年4月26日午前0時、ウクライナ・チェルノブイリ原電4号基。原子への非常停止実験過程で問題が起こって火事が発生した。この事故で隣近地域はもちろん、北欧全体が放射能に汚染された。
繰り返された事故で20年以上停滞した原子力産業がルネサンスを迎えている。30年の間、ただの1つも原電を建設しなかった米国の原電業界が31基を新たに作ると立ち上がった。地球温暖化防止のための温室ガス削減が国際社会の中心課題として登場し、石炭発電所を原電に取り替えて二酸化炭素(CO2)の排出を減らそうという主張が注目を集めているからだ。石油価格がいつ再び上がるかもしれない状況も後押ししている。
電力難に苦しむ中国も2020年まで40基を建設する計画だ。ヨーロッパも雰囲気が変わった。スウェーデン政府は新規原電建設を許容する内容の法案を用意し、イタリアも2020年まで4基以上を新たに作ることにした。日本でも90年代以後、大学が「原子力」という単語を学科の看板から外したが、最近、原子力学科が再び登場している。韓国政府も2022年まで原電12基を追加で建設し、電力生産の半分を原電で充てる計画だ。
世界原子力協会(WNA)によると、全世界で建設予定である原電は108基で、建設を検討中のものも266基になる。現在稼働中の436基とほとんど同じ数字だ。
しかしウラン埋蔵量にも限界はある。後50年程度使うことができるだけだという主張もある。それに千年、万年後まで残る放射性廃棄物も問題だ。米国は20年前から推進してきたネバダ州ユッカ山処理場の建設も完成を見られずにいる。環境運動団体は地球温暖化という鬼を退けるために原電というベルゼブブ(新約聖書に出る鬼の王)を呼び入れなければならないと責めている。
風力・太陽光のような新再生エネルギー普及が増えているが、まだ充分でない部分が多い。安定的で安い新再生エネルギーを得るまでは原電に対する依存を避けることができない。それなら子孫たちに危ない廃棄物を残すことを悪いと思うくらいの廉恥はなければならないのではないか。
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