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【取材日記】北のミサイルに気をもむ在日韓国人

60万人にのぼる在日韓国人が北朝鮮のミサイル(人工衛星)発射以降に展開される「厳しい局面」に不安がっている。

在日韓国人はかつて北朝鮮がミサイル発射に踏み切った当時に起きた状況を今でもはっきりと覚えている。98年8月、北朝鮮は長距離弾道ミサイル「テポドン1号」を打ち上げた。弾頭は日本列島を越え、太平洋に落ちた。

その後、日本では、右翼による在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)系への脅威と暴行が相次いだ。東京では、中年男性が自転車に乗って登校しているチマチョゴリ(韓国伝統の服)姿の女子生徒に、傘を振り回し唾を吐くこともあった。神奈川県の朝鮮総連系学校には「給水施設にシアン化カリウム(青酸カリを)入れた」と脅迫する電話があった。


今回も北朝鮮がミサイルを発射する場合、まずは朝鮮総連系の人々が直接の被害を受けるはずだが、韓国籍の在日韓国人も間接的に被害を受ける可能性が高い。02年、北朝鮮がかつて日本人を拉致し、それらの相当数が死亡したという事実が初めて公表されたとき、日本では1年以上にわたって激しい「北朝鮮バッシング」が続いた。

右翼団体は街に出て「北朝鮮・朝鮮総連叩き」に率先し、テレビなどマスコミや政治家は連日で北朝鮮を非難した。韓国系は直接の被害は受けなかったものの、常に気をもみながら暮らさねばならなかった。これを覚えている在日本大韓民国民団(民団)はついに、3月25日「北朝鮮が進めるミサイル発射の策動を糾弾する」という談話を発表した。

民団中央本部のチョン・ジン団長は「ミサイルの一部が日本領土に落下すれば、在日韓国人全体が大きな打撃を受けることになる」とし「在日韓国人の生活と安全のためにも発射計画を直ちに撤回すべきだ」と呼びかけた。現在、日本には民団系約50万人、朝鮮総連系約9万人が居住している。いまや1-2世は高齢化し、3-4世につながるにつれ、帰化する人が増加、日本への依存度は高まりつつある。

こうした状況で、北朝鮮によるミサイル発射は、日本社会のナショナリズムを強化し、いまだ社会一部に残っている韓国人への差別をあおるかもしれない。なおさら韓国人は厳しい状況に置かれる。また、右派の声が高まり、平和主義者のスタンスは委縮することによって、日本が軍事大国化へ向かう道が広くなる可能性も高い。諸理由から在日韓国人の悩みは深まるばかりだ。



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