羽を集めて蝋で付けて翼を作ってやった父は息子にあまり高く飛び過ぎないよう忠告した。 しかし翼をつけた息子はもっと高く飛んでみたかった。 息子は太陽に向かって飛んで行ったが、蝋が溶けて墜落してしまう。 このギリシャ神話は、理想は必ず現実の検証が必要だということを語っている。 太陽(包容)政策という理想は現実検証で蝋の翼のように溶けて墜落した。 金剛山(クムガンサン)観光、開城(ケソン)工業団地…。 観光料金でも渡せば気が和らぐだろう、北朝鮮労働者の手に賃金でも握らせれば態度が変わるだろう…。 しかし観光客を殺し、工業団地の韓国人を拘束するという、理解できないことが起こった。
北朝鮮の核を防ぐために6カ国協議を行い、ミサイルを作れないよう何々プロセスという名前も難しい会談をしたが、すべて水の泡になった。 実際6カ国協議のような偽善的な会談があるだろうか。 北朝鮮はすでに私生児を産んで裏の部屋で育てているにもかかわらず、妊娠できないようにする方途は何か、妊娠しても子は産めないようにすべきだと会談している…。 ミサイルも同じだ。 弾頭は太平洋に飛んでいるのに「発射すれば対話で解決するしかない」というのが精一杯だ。
なぜこのようなことになってしまったのか。 相手を理解していないからだ。 私たちは相手も自分のように理性的だという前提のもとで対話をする。 米国が同時テロを受けたのは、アルカイダがそのような反理性的な考えをするとは思っていなかったからだ。 太陽政策や6カ国協議も北朝鮮の理性を信じて始まったものだ。 「数百万人を飢えさせて殺しておきながらも核兵器やミサイルを作るというのは狂った行為だ」。 これは理性を持った人たちの考えだ。 駐英北朝鮮大使の「貧しければ宇宙開発もできないのか」という発言は、自ら反理性的な集団ということを告白するものだ。 チェンバレンがヒトラーと平和条約を結んで帰って来ると、英国国民は歓迎した。 ヒトラーも自分たちのように理性的だと信じていたからだ。 しかしその条約は紙屑にすぎなかった。 交渉は双方が同じように理性に基盤を置く時に可能だ。 太陽政策自体は悪くない。 ただし、相手が自分たちと同じように理性的だという前題でだ。
それなら反理性的な集団はどのように扱わなければならないのか。 共産主義の東欧を崩壊させたきっかけはローマ法王パウロ2世のポーランド訪問だった。 パウロ2世は野外ミサをしながら、東欧の人々に個人の尊厳が何であり、真理が何であるかについて勇気を持って説破した。 「皆さまは共産主義者が主張するような階級の一部ではない。 あなたたちは尊厳たる待遇を受けるべき高貴な存在だ」と自覚させた。 米女流コラムニストのヌーナン氏は「ミサから帰っていくポーランド人はもはや過去とは違った」と振り返った。 ソ連はミサイルや核がなかったために崩壊したのではない。 レーガン大統領は一つの確信を抱いていた。 共産主義のようなシステムを正すことは宗教しかできないと信じた。 首脳会談でレーガンが力説したのは宗教の自由、人権だった。 モスクワの真ん中でレーガンは宿舎に反政府勢力の人たちを招待して激励する勇気を見せた。 非公開会議でゴルバチョフに神の存在を力説し、説得し、参謀たちを驚かせた(ウォールストリートジャーナル3月7・8日付)。
私は北朝鮮と会談をして統一が来るとは考えない。 統一よりも切実なのは無気力な北朝鮮住民の意識を呼び覚ますことだ。 私たちが人道的に北朝鮮を助けるとしても、その中に北朝鮮住民の自尊を呼び覚ます種を蒔かなければならない。 あなたたちは飢えて抑圧される存在ではないということを悟らせる必要がる。 人類の理性が要求するものは自由、人権、そして幸せだ。 それなら理性を信奉する進歩主義者こそが北朝鮮にこの点を強く力説すべきだが、南側の進歩は北朝鮮に対しては何も言えない人たちだ。
戦争のリスクがあるため北朝鮮の真実に目を閉じて対話しなければならない、という偽りのささやきに振り回されてはならない。 そのためには南にも勇気が必要だ。 私たちはもう少し大胆に北朝鮮に人権と自由を要求する必要がある。 それが北朝鮮の弱点だからではなく、私たちの義務であるからだ。 それと同時に北朝鮮が挑発できないよう防御の準備を徹底的にすればよい。 国防費を増やし、ミサイル防衛網も構築し、大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)にも参加しなければならない。 北朝鮮のミサイル発射は私たちに新たな覚悟を促している。
北朝鮮の核を防ぐために6カ国協議を行い、ミサイルを作れないよう何々プロセスという名前も難しい会談をしたが、すべて水の泡になった。 実際6カ国協議のような偽善的な会談があるだろうか。 北朝鮮はすでに私生児を産んで裏の部屋で育てているにもかかわらず、妊娠できないようにする方途は何か、妊娠しても子は産めないようにすべきだと会談している…。 ミサイルも同じだ。 弾頭は太平洋に飛んでいるのに「発射すれば対話で解決するしかない」というのが精一杯だ。
なぜこのようなことになってしまったのか。 相手を理解していないからだ。 私たちは相手も自分のように理性的だという前提のもとで対話をする。 米国が同時テロを受けたのは、アルカイダがそのような反理性的な考えをするとは思っていなかったからだ。 太陽政策や6カ国協議も北朝鮮の理性を信じて始まったものだ。 「数百万人を飢えさせて殺しておきながらも核兵器やミサイルを作るというのは狂った行為だ」。 これは理性を持った人たちの考えだ。 駐英北朝鮮大使の「貧しければ宇宙開発もできないのか」という発言は、自ら反理性的な集団ということを告白するものだ。 チェンバレンがヒトラーと平和条約を結んで帰って来ると、英国国民は歓迎した。 ヒトラーも自分たちのように理性的だと信じていたからだ。 しかしその条約は紙屑にすぎなかった。 交渉は双方が同じように理性に基盤を置く時に可能だ。 太陽政策自体は悪くない。 ただし、相手が自分たちと同じように理性的だという前題でだ。
それなら反理性的な集団はどのように扱わなければならないのか。 共産主義の東欧を崩壊させたきっかけはローマ法王パウロ2世のポーランド訪問だった。 パウロ2世は野外ミサをしながら、東欧の人々に個人の尊厳が何であり、真理が何であるかについて勇気を持って説破した。 「皆さまは共産主義者が主張するような階級の一部ではない。 あなたたちは尊厳たる待遇を受けるべき高貴な存在だ」と自覚させた。 米女流コラムニストのヌーナン氏は「ミサから帰っていくポーランド人はもはや過去とは違った」と振り返った。 ソ連はミサイルや核がなかったために崩壊したのではない。 レーガン大統領は一つの確信を抱いていた。 共産主義のようなシステムを正すことは宗教しかできないと信じた。 首脳会談でレーガンが力説したのは宗教の自由、人権だった。 モスクワの真ん中でレーガンは宿舎に反政府勢力の人たちを招待して激励する勇気を見せた。 非公開会議でゴルバチョフに神の存在を力説し、説得し、参謀たちを驚かせた(ウォールストリートジャーナル3月7・8日付)。
私は北朝鮮と会談をして統一が来るとは考えない。 統一よりも切実なのは無気力な北朝鮮住民の意識を呼び覚ますことだ。 私たちが人道的に北朝鮮を助けるとしても、その中に北朝鮮住民の自尊を呼び覚ます種を蒔かなければならない。 あなたたちは飢えて抑圧される存在ではないということを悟らせる必要がる。 人類の理性が要求するものは自由、人権、そして幸せだ。 それなら理性を信奉する進歩主義者こそが北朝鮮にこの点を強く力説すべきだが、南側の進歩は北朝鮮に対しては何も言えない人たちだ。
戦争のリスクがあるため北朝鮮の真実に目を閉じて対話しなければならない、という偽りのささやきに振り回されてはならない。 そのためには南にも勇気が必要だ。 私たちはもう少し大胆に北朝鮮に人権と自由を要求する必要がある。 それが北朝鮮の弱点だからではなく、私たちの義務であるからだ。 それと同時に北朝鮮が挑発できないよう防御の準備を徹底的にすればよい。 国防費を増やし、ミサイル防衛網も構築し、大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)にも参加しなければならない。 北朝鮮のミサイル発射は私たちに新たな覚悟を促している。
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