ライトレールは富山市民の環境意識も変えている。富山県には山間部に点在する村が多く、車なしでは生活が不便だ。このため、２００３年には１世帯あたりの自動車保有数（１．７３台）が全国１位で自動車の依存度が高かった。しかし、ライトレールの導入後、自動車の依存度が全国２位になった。根塚社長は「今後、高齢化が進めば、電車の利用者が増え、自動車への依存度は低下してくるだろう」と予測している。

◇環境にやさしい産業を強化＝環境都市でありながらも、関連産業が活気を帯びている。製薬産業をはじめ、１００年以上の歴史を持つ地酒、寿司を製造している会社などは「環境にやさしい産業」である。新しい雇用先を創出し、若者たちを集める効果を持たらした。自然の雪を利用した新産業も富山市の競争力を高めている。富山市は慢性的な赤字を出していた富山県所有の立山山麓スキー場を買い取り、民間が運営する「公設民営」方式を導入した。民間の運営会社は環境にやさしい事業を多角化的に展開し、雪上トレッキングができる伝統体験プログラムなど、雪を楽しめる多彩な商品を開発した。このような方法で観光客を積極的に誘致し、４７億円の負債を負っていたスキー場は、利用者が約３０％増加し「民間運営」４年年目で黒字になった。先月１７日、このスキー場で出会った４０代はじめの夫妻は「小学生２人の娘と一緒に大阪から来た。遠い北海道に比べると費用が少なくて済むうえ、自然環境がいいことから３年連続で来ている」と話した。このスキー場の赤川修理事は「富山市が環境都市というイメージが定着したことから、快適にスキーを楽しめることが知れわたり、観光客が集まって来ている」とし「夏は山岳観光を楽しめる新緑トレッキングコースを作った」と話している。

写真：富山県所有の立山山麓スキー場で中国、台湾、香港など中華圏の観光客や取材陣が雪を楽しんでいる。

自然にやさしい環境産業で活性化はかる①／日本･富山