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【取材日記】「数字の意味」無視される韓国の国会

米議員は他党の議員を「廊下の向こうの紳士(Gentleman from other Side of Aisle)」と呼ぶ。

共和党と民主党の議席が本会議場の廊下を間に挟んで左右に分かれていることから作られた言葉だ。呼称で、すでに暴力や無礼な行動は想像しにくい雰囲気が感知される。南北戦争以降、150年間にわたり一度も暴力事態が起きていない米議会では、口を滑らせただけでも厳罰を受ける。

米下院で3回当選したキム・チャンジュン元議員によると、ある議員が演説する途中、他党議員を個人的に誹謗(ひぼう)または丁寧でない発言をすれば、その日の当番を務めるほかの党の議員が直ちに発言を中止させ、謝罪と議事録から削除を求める。一度こうした措置が取られれば、数カ月にわたり議事堂内での発言が禁じられる上、地方区にも伝えられ、再選に大きなマイナスとなる。


こうした事情から、実際に懲戒処分を受けた議員はこの数十年間たった一人もいなかったという。暴力の代わりに対話と妥協で意見の隔たりを狭めていくものの、結局は民意を代弁する議席数で最終的に決定する、「数の支配」の原則が深く定着しているのだ。

韓国の国会はどうだろう。争点となっている法案をめぐり対立する状況となれば「このやろう!」「死にたいのか!」などと言った暴言が飛び交う。暴力事態も見慣れた風景だ。3日に閉会した臨時国会でも、与党ハンナラ党の車明進(チャ・ミョンジン)議員と野党民主党の徐甲源(ソ・カブウォン)議員がそれぞれの党の役員と議員に暴行され、病院で治療を受けた。

171席にのぼる巨大な与党、ハンナラ党が発議した諸法案が半分もならない少数野党によって上程段階から阻止された。多数決の原則は否認され、実力行使の論理だけ残った国会は、世界があざ笑った議員の暴力事態につながった。米国とは異なり、韓国の国会で「数の意味」が無視されるのは、かつての「民主-反民主」のパラダイムが議員ら脳裏に残っているからだ。「多数=独裁=反民主」という季節外れの等式と「支配者」に対抗する自分らだけが「絶対善」という「自分催眠」から依然として覚められずにいるのだ。

ハンナラ党は「与党(開かれたウリ党)が“数の横暴”で押し通す場合、国民によって撤退される」(04年、南景弼ハンナラ党院内首席副代表)と叫んだ野党時代、民主党は「野党(ハンナラ党)と十分討論するものの、政権党・多数党のイニシアチブに基づき法案を日程通り可決させる」(04年11月、元恵栄ウリ党政策委首席副議長)と強調した与党時代の、初心をそれぞれ想起すべき時点だ。



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