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◆個人もすでに逃避=米国の首都ワシントンDC北部のメリルランド州モンゴメリーカウンティに住んでいたコンピューターセキュリティ専門家のアダム・ファイヤーさんは最近妻と2人の娘を連れニュージーランドに移民した。地球温暖化のためだ。彼は「行ったこともない国に移民するのは簡単ではないが、米国に住む危険に比べれば我慢できる」と話す。彼は数年間地球温暖化の影響をあまり受けていない国を調査した。その結果生活の質が相対的に高く、積極的に環境政策を打ち出しているニュージーランドを選んだ。ニュージーランド労働省によると、同国に移民する専門技術者の半数程度が移民の理由に気候や環境を挙げている。米インディアナ大学のラファエル・レビン教授(政治経済学)は、自国の温暖化などを理由にイスラエルから米国に移民した。彼は「予想より速く主要な環境が変化しており、その変化はわれわれが生きている間加速化するだろう」と懸念している。
◆速くなる気候変動=IPCCは2007年の報告書で、2100年までに海水面が25~58センチメートル上昇するとの見方を示した。こうした場合、モルディブなど島国が水没する可能性がある。一部科学者らは最悪の場合には海水面上昇が2メートルに達するとのシナリオを提示している。そうすると1万7000の島からなるインドネシアでは2000個以上の島が海に沈む危険がある。科学者らは「現在の速度で海水面が上昇すれば2035年にジャカルタ空港が水に浸かり、2080年には海から10キロメートル離れた大統領宮も浸水する」としている。
豪州の気候学者、グラミー・ピアマン氏は、「2100年には地球の気温が2度上昇し、南極と氷河が解け海水面が上昇する。世界の海岸地域に居住する1億人が行き場を失う」と予想した。気候難民が幾何級数的に増えるという意味だ。
<環境キャンペーン>地球温暖化…世界で気候難民急増(1)
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