韓国社会の性的暴行による犯罪が深刻なレベルに至った。昨年の「京畿道安養（キョンギド・アニャン）小学校の女児誘拐・殺害事件」や、最近同道軍浦市（グンポシ）などで女性らを殺害した容疑で起訴されたカン・ホスン被告の連続的な性的暴行、殺害事件などから、端的にわかる。

いまや誰も性的暴行から自由になれない世の中となった。政府が▽性犯罪者の身元情報登録制度▽ＧＰＳアンクレット（電子足輪）制度－－など多様な性犯罪の防止に向けた制度を導入したにも関わらず、性犯罪は増加一辺倒だ。

最高検によると、０２－０６年に刑法犯（婦女暴行やわいせつ行為による罪）は６６４４人から９４０３人へと、１．５倍も増加した。特別法犯（性的暴行特別法）も４２２２人から５４５５人に増えた。こうした現象も問題だが、より大きな問題は、加害者の「サイコパス的な病理現象」にばかり、社会の関心が向けられているという点だ。


性犯罪の抜本的な原因の分析や、予防策についての認識は非常に足りないのだ。性的暴行は、執行猶予期間中または服役後に再犯を行う頻度が非常に高いという特性を持っている。よって犯罪者に対する厳しいレベルの処罰や再犯防止策と共に、被害者のための保護策が施行されねばならない。

特に防御能力が落ちる児童を対象にした性犯罪を防ぐため、格別の対策が作られるべきだ。このため、ひとまず性的暴行の予防に向けた教育が活発化されねばならない。性的暴行が児童の全生涯に及ぼす身体的かつ精神的な後遺症は途方もなく大きい。見守る家族の苦痛も非常に深刻で、度々、家庭の崩壊につながることもある。

昨年、保健福祉家族部が調べたところ、児童や青少年を対象にした性犯罪は▽児童の居住地に近接した地域で▽放課後の午後の時間帯に▽見知らぬ人によって－－最もたくさん発生している。特に１３歳未満を対象にした性犯罪の場合、「一緒に遊ぼう」と誘う方法を使って、強制しなくても簡単に犯罪を行っている。したがって、家庭と学校は、子どもに性的暴行の危険性を十分認識させ、危うくなった場合に対処する方法を教えなければいけない。

第二に、地域の環境を再開発する際、犯罪の予防を視野に入れるべきだ。団地内に建築を計画する段階から、犯罪を起こしうる環境を抜本的に除去しなければいけないということだ。防犯テレビの設置を拡大し、子どもの安全を踏まえた事前の安全影響評価を実施すべきだ。また、一定の間隔をおいて、犯罪申告向けの電話（仮称：ＳＯＳ電話）を設けるのも必要とされる。

第三に、加害者の遺伝子情報登録制道の導入が急がれる。性犯罪者の場合、再犯率が高いことから、米国・日本・英国など多くの国家が遺伝子情報銀行制度を採用している。国家レベルで個人情報を管理することにより、「過度な個人情報の流出と」いう弊害があり得るものの、すでに導入済みの国の事例を積極的に検討し、補完装置を作ればいい。加害者らの人権も考えるべきだが、被害者の犠牲を最小化するためには関連制度の立法を急いで進めねばならない。

第四に、性犯罪者が児童に接近できる機会を制度的に遮断すべきだ。国内では現在、児童関連施設への就業を制限する規定を設けている。ところが、最近、福祉部の調べでは、性犯罪の一部前科者が同規定を違反し、学校やマンションの警備員として働いている実態が摘発された。職員を採用する際、性犯罪歴を照会すべき義務を誠実に履行しなければいけないのに、関連施設の責任者がその義務をおろそかにしたのだ。また、外国のように児童対象性犯罪者の場合、居住地を制限する規定を導入する案も検討しなければならないと思われる。

第五に、児童を対象にした性的暴行を予防するための、官民の有機的な連携が必要だ。自治体と非政府組織（ＮＧＯ）、住民と学校、警察すべてが協力し、犯罪予防のネットワークを築かねばならない。住民の自発的な参加にばかり頼っていれば、限界があるほかない。したがって、地域社会の警察活動と連携し、民間にも「犯罪予防活動の義務」をある程度与えることで、効果を上げることができるだろう。