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2月20日の夜12時15分。
海抜1242メートルに体感温度は氷点下30度。
白い雪に覆われたまま、強風が吹く空の下、最前方の警戒所の加七峰(カチルボン 江原道)中隊には緊張感が漂っている。副中隊長のキム・ミョンファン中尉は哨兵の活動を視察するため、鉄柵(てっさく)線へ向かった。
鉄柵は加七峰中隊バンカーの手前に設けられている。1人がやっと通れる警戒路に沿って、キム中尉が10分ほど歩くと、警戒勤務にあたっていた哨兵が突然小銃を向け「動くな!動けば撃つぞ」と叫んだ。
キム中尉は部下の声であるにも関わらず、両手を挙げ、足をとめた。哨兵の「花郎(ファラン)」という合言葉にキム中尉は「仙女」と答えた。合言葉は毎日変わる。哨兵はキム中尉を近くまで接近させた後、顔を直接確認してから、敬礼した。キム中尉は「加七峰中隊では合言葉に3回以上答えられなければ、味方でも射殺するよう定められている」と説明した。
加七峰中隊は江原道楊口郡(カンウォンド・ヤンググン)に位置する第21師団(白頭山部隊)に所属し、最前方の鉄柵線の警戒業務を遂行する観測(OP)中隊だ。非武装地帯(DMZ)内の加七峰の頂上に設けられたコンクリートのバンカーの中にある。全軍の最前方警戒所のうち、最も高い高地だ。軍事境界線(MDL)の向かい側にある北朝鮮軍・金日正(キム・イルソン)高地の自主高地警戒所との距離はわずか750メートル。北朝鮮軍警戒所から韓国の陣営まで走ってくる場合、5分しかかからない。
最近北朝鮮の軍事的な挑発行為を懸念する声が高まる中、1泊2日(19-20日)の日程で加七峰中隊に合流し、緊迫な最前方の状況と韓国軍の警戒態勢などを取材した。中隊長のキム・ウンリョル(28、学士第43期)大尉は「北朝鮮が内陸で挑発するとしたら、ここ加七峰になる可能性が高い」とした後「いかなる挑発行為があっても、初戦を勝利で飾る準備ができている」と話した。
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部隊関係者は「北朝鮮軍が韓国の警戒所側に向かって発砲する場合、3倍で対応することになっている」とし「北朝鮮が挑発すれば、備蓄しておいた実弾を全部発射しろという指針が下された状態だ」と説明した。この関係者は、最近合同参謀から「北朝鮮が声東撃西(東に声して西を撃つ)の形で、韓国西海(ソヘ、黄海)の北方限界線(NLL)を脅威し、実際には非武装地帯で挑発行為を行うことも考えられることから、徹底的に備えるように」という指示もあったと伝えた。
情報を担当するほかの部隊の関係者は「最近北朝鮮軍の軍事演習が急増している」とし「砲兵射撃の演習を頻繁に行っているようだ」とした。同関係者は「昨年10月には北朝鮮軍警戒所で、韓国が支援したコメ数十袋をトラックから降ろす場面を撮影した」とし「北朝鮮はこれを“韓国が北朝鮮の核兵器を恐れて捧げた朝貢”だと教育したと聞いている」と伝えた。北朝鮮軍はコメの袋を陣地の構築に活用しているという。
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