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【コラム】ウォン安のせいにするより適正為替レートの再検討が先

韓国経済が前代未聞の危機を迎えている。 このため政府は各種危機対策を施行中だ。 筆者はこうした対策のうち為替レート政策に異議を提起したい。 政府と経済界ではウォン安が物価高騰を招き、内需低迷と低成長につながると懸念している。 しかし韓国経済で原資材を除いた輸入品の価格が上がるのは、むしろ国産製品の価格競争力を高める効果がある、というのが筆者の考えだ。 ウォン安で輸入品の価格が上がれば、国産製品がよく売れるようになり、国内産業が回生する可能性があるということだ。

日本では最近、為替レートが1ドル=90円前後となり、全産業が円高不況の衝撃に包まれている。 世界自動車業界1位のトヨタや電子業界を代表するソニーなどは、急激な収益悪化で大規模なリストラに踏み切った。 こうした大企業の下請けをしている中小企業は廃業の恐怖に苦しんでいる。

米国と中国も為替レート問題で神経戦を繰り広げている。 米国は昨年末の米中戦略経済対話で人民元切り上げ圧力を加えた。 オバマ政権も執権後、中国を為替レート操作国だと批判して警告した。 自国商品の価格競争力を高めようという駆け引きだ。


政府はその間、ウォン安を阻止するため保有外貨を市場に注ぎ込み、相次いで通貨スワップ契約を結んだ。 しかし現在のウォン安ドル高が果たして韓国経済が耐えられないほどの水準かどうかを確かめる必要がある。 昨年の貿易収支は130億ドルの赤字だった。 一方、旅行および留学などサービス収支はウォン安ドル高で赤字幅が急減した。 特に円高までが重なり、日本人ショッピング客・医療観光客の訪韓ラッシュが続いている。 中国に移転した韓国企業の工場がウォン安で採算が合わないため国内にUターンする現象も生じている。 ウォン安が内需活性化に寄与する面だ。

したがって政府は韓国産業が競争力を維持し、不況の克服を後押しする適正為替レートがどの水準かをまず考える必要がある。



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