麻生政権に対する最近の支持率は、10%台で、常識的にいえば、いつ政権が倒れてもおかしくない数字である。しかし、与党の自民党と公明党が、衆議院の議席を三分の二以上を保持しているという状況は、麻生政権を意外としぶとく生き残らせている条件でもある。一昨年七月の参議院選挙で、参議院の過半数を失った与党であるが、予算は、衆議院の議決のみで成立するし、その他関連法案も必要であれば、衆議院における三分の二以上の多数による再議決で成立する。
したがって、2009会計年度が始まる4月までに予算を成立させることは可能であり、そこまでは、麻生政権の支持率は低くとも、政権は続く可能性が高い。さらに、その後も、総選挙をやっても自民党が勝てる見込みが立たないということであれば、麻生首相は、総選挙をすることなく9月の任期満了まで、首相を務めようとするのかもしれない。延々と支持率の低い首相であるということは、日本国民にとっては、不満がたまるわけであるが、麻生首相が総選挙をしないという選択を行い、与党がそれでいいというのであれば、制度上、これを防ぐ手段はない。
麻生首相にしてみれば、現在の低支持率で総選挙をやっても勝てる見込みはない。そうであるならば、やれることはやって、状況を見ようということなのであろう。予算が成立し、国民に定額給付金をばらまけば、ある程度の景気刺激効果があるかもしれない。景気に一点でも明るさが戻れば、支持率もあがるかもしれない。そうであれば、先走って選挙をする必要はない。支持率があがったときに選挙をやればいいというわけである。
しかし、この論理でいけば、景気回復が見えず支持率が上がらなければ、ずっと選挙はできないということになる。結局、じり貧で選挙をやって、自民党が敗北するということになるのかもしれない。麻生首相は、そこまで覚悟を決めているのであろうか。楽観的な首相のことである。そのような悲観的な覚悟を考えていないのかもしれない。しかし、客観的状況はそういうことである。
この状況は、日本国民にとっては、一面で不幸なことである。国民が支持しない政権がずっと続くからである。しかし、他面、良い面がないわけではない。それは、次の政権を担う可能性のある野党に、ある種の準備期間、移行期間を与えることになるからである。大統領制の場合、大統領選から就任までの間にある程度時間があるのが普通である。これに対して、議院内閣制では、突然総選挙が行われて政権が倒れれば、野党は、直ちに政権を作らなければならない。日本のように野党がほとんど政権についたことのない国では、これは、混乱を生む可能性が大きい。
これに対して、仮に9月の任期満了まで選挙がなく、しかもその選挙で野党が勝つ見込みが高いということになれば、野党は、これから9月までも政権移行期とみて、十分な準備を行うことができるのである。是非、民主党には、その後の政界再編の可能性も含めて、この機会を利用して政権を獲得したときに混乱がないような準備をしてほしい。
もちろん強気の麻生首相は、このような観測を認めないかもしれない。それならそれで、麻生首相には目先のことにとらわれず、歴史からどう評価するかを考えて行動したらよいと思う。現在の国民が支持しなくとも、将来の国民は、麻生は良くやったと思われるように行動すべきなのではないか。経済政策についても、そうであるが、筆者は、麻生首相が日本としての外交政策を立派に行うべく覚悟を決めて欲しいと思う。
実績からみると、麻生首相の外交は、それほど悪くない。1月末にスイスのダボスで行われた世界経済フォーラムで麻生首相の行った演説も、積極的な内容を持っていた。世界の多くの指導者たちが、自らの経済を守るだけで精一杯なところ、麻生首相は、IMFに1000億ドルの融資を行うこと、アジア諸国に170億ドル相当の政府開発援助を行うこと、アフリカへの政府開発援助を2012年までに倍増させるとのコミットメントを必ず実現することなど、具体的な貢献策を表明した。
このような外交は、麻生首相個人にとっては、支持率を上げるなどと言うことにはつながらない公算が大きい。外交はほとんど世論調査には影響をあたえないのが最近の傾向だからである。しかし、このような積極的外交は、長期的には日本のためになる。政権は失ったとしても、歴史の評価は得られるであろう。
したがって、2009会計年度が始まる4月までに予算を成立させることは可能であり、そこまでは、麻生政権の支持率は低くとも、政権は続く可能性が高い。さらに、その後も、総選挙をやっても自民党が勝てる見込みが立たないということであれば、麻生首相は、総選挙をすることなく9月の任期満了まで、首相を務めようとするのかもしれない。延々と支持率の低い首相であるということは、日本国民にとっては、不満がたまるわけであるが、麻生首相が総選挙をしないという選択を行い、与党がそれでいいというのであれば、制度上、これを防ぐ手段はない。
麻生首相にしてみれば、現在の低支持率で総選挙をやっても勝てる見込みはない。そうであるならば、やれることはやって、状況を見ようということなのであろう。予算が成立し、国民に定額給付金をばらまけば、ある程度の景気刺激効果があるかもしれない。景気に一点でも明るさが戻れば、支持率もあがるかもしれない。そうであれば、先走って選挙をする必要はない。支持率があがったときに選挙をやればいいというわけである。
しかし、この論理でいけば、景気回復が見えず支持率が上がらなければ、ずっと選挙はできないということになる。結局、じり貧で選挙をやって、自民党が敗北するということになるのかもしれない。麻生首相は、そこまで覚悟を決めているのであろうか。楽観的な首相のことである。そのような悲観的な覚悟を考えていないのかもしれない。しかし、客観的状況はそういうことである。
この状況は、日本国民にとっては、一面で不幸なことである。国民が支持しない政権がずっと続くからである。しかし、他面、良い面がないわけではない。それは、次の政権を担う可能性のある野党に、ある種の準備期間、移行期間を与えることになるからである。大統領制の場合、大統領選から就任までの間にある程度時間があるのが普通である。これに対して、議院内閣制では、突然総選挙が行われて政権が倒れれば、野党は、直ちに政権を作らなければならない。日本のように野党がほとんど政権についたことのない国では、これは、混乱を生む可能性が大きい。
これに対して、仮に9月の任期満了まで選挙がなく、しかもその選挙で野党が勝つ見込みが高いということになれば、野党は、これから9月までも政権移行期とみて、十分な準備を行うことができるのである。是非、民主党には、その後の政界再編の可能性も含めて、この機会を利用して政権を獲得したときに混乱がないような準備をしてほしい。
もちろん強気の麻生首相は、このような観測を認めないかもしれない。それならそれで、麻生首相には目先のことにとらわれず、歴史からどう評価するかを考えて行動したらよいと思う。現在の国民が支持しなくとも、将来の国民は、麻生は良くやったと思われるように行動すべきなのではないか。経済政策についても、そうであるが、筆者は、麻生首相が日本としての外交政策を立派に行うべく覚悟を決めて欲しいと思う。
実績からみると、麻生首相の外交は、それほど悪くない。1月末にスイスのダボスで行われた世界経済フォーラムで麻生首相の行った演説も、積極的な内容を持っていた。世界の多くの指導者たちが、自らの経済を守るだけで精一杯なところ、麻生首相は、IMFに1000億ドルの融資を行うこと、アジア諸国に170億ドル相当の政府開発援助を行うこと、アフリカへの政府開発援助を2012年までに倍増させるとのコミットメントを必ず実現することなど、具体的な貢献策を表明した。
このような外交は、麻生首相個人にとっては、支持率を上げるなどと言うことにはつながらない公算が大きい。外交はほとんど世論調査には影響をあたえないのが最近の傾向だからである。しかし、このような積極的外交は、長期的には日本のためになる。政権は失ったとしても、歴史の評価は得られるであろう。
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