ウィノナ・ライダー主演の映画「ダーウィン・アワード」（Ｔｈｅ　Ｄａｒｗｉｎ　Ａｗａｒｄｓ、２００５）は、ダーウィン賞の受賞者と周囲環境の相関関係を追跡する人たちの話だ。 ここで、ダーウィン賞とは進化論の父チャールズ・ダーウィンを記念して制定された賞で、「自然選択説に立脚し自らを除去することで人類の遺伝子改善に貢献した人たち」を追慕する賞、という説明が登場する。

複雑だが、分かりやすく言えば、「生きていたとすれば人類の形質改善に役立たない人たちが、自ら命を捨てて自分たちの愚かなことが子孫に遺伝しないようにしたことに対する感謝の表示として与える賞」という意味だ。


映画の中の話ならかまわないが、実際に存在するこの賞（http://darwinawards.com）は、１９８５年から毎年受賞者を輩出し、受賞者のとんでもない話が書かれた本も何度か発刊された。 その話もさまざまだ。 コーラの缶を無料で取り出そうとし自動販売機の下敷きになって死んだ人、ヨットの穴をテープでふさいで航海中に溺死した人、妻に慰謝料として家を譲れという判決が出た後、家に火をつけて自分が死んだ人などだ。

コミカルではあるが、韓国的な基準で見れば、とにかく命を失った人たちのことを笑い話にするというのは安らかでない。 有名人の死亡記事に書き込まれるインターネットの悪質なコメントを連想させる面もある。 こういういたずらに自分の名前が使われるというのに対し、ダーウィンはどう思うだろうか。

ダーウィンの理論が人類の知性の発展に寄与したという内容が敢えて再論される必要もないが、一方ではダーウィンの主張は弱者に対する強者の抑圧を合理化するのに悪用されたという批判も常に付きまとう。 ダーウィンが存在しなかったとすれば優生学やナチスのホロコーストもなかった、という指摘がまさにそれだ。

文化界でも時々ダーウィンを恨むようなことが起きる。 視聴率でライバル放送に敗れるプログラムはすぐに廃止すべきであり、ボックスオフィスを掌握できない映画は消えて当然だという主張のためだ。 幸い、ちょうど独立映画「カウベル」（Ｏｌｄ　Ｐａｒｔｎｅｒ）が５０万人の観客を動員する奇跡が起き、人々の愚かさを気づかせてくれたりする。

さる１２日、ダーウィン誕生２００周年を迎え、世界各国で祝賀行事が開かれているが、人類はその間ダーウィンの教えを口実に犯してきた数多くの愚かなことに対する反省も忘れてはならないようだ。 ダーウィン賞の存在の意味は、もしかするとこうした失敗を忘れるなという反面教師なのかもしれない。