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【コラム】バイコリア、バイアメリカ(1)

生きていれば頭ではわかっても心で納得いかないことがある。試験に落ちて、職場で切られて、1人だけ昇進できなかった時がそう。自分だけなぜ? 人より何がだめで、どこが悪いのか。 気持ちではまったく納得できないのだ。しかし頭では十分に分かっている。事実は人よりできなくて、劣っていて、そんな結果が出たということを。そんなときは早く気持ちを抑えて頭を開くほうがいい。それでこそ次の機会もあって、明日の失敗も阻むことができる。でも分かりながらもそれがうまくできない。結果はもっと大きな失敗と挫折がオチなのだ。

このごろ米国がそんな格好だ。ワシントンは先日、米国品物使用義務「Buy America」条項というのを作った。「公共事業では米国産製品と装備しか買わないことにする」というものだ。米下院がこれを通過させると世界が沸き立った。グローバルスタンダードと言いながら、自由貿易とグローバル化を強要したのはいつの話で、自分のところの経済が厳しくなったら、他人の品物使わないと鍵をかけて閉ざしてしまうのか。どういうことだ。

いつも米国と向き合わないサルコジ・フランス大統領が今度も先に立ちあがった。「(米国が「バイアメリカ」に固執すれば)EUも自動車産業支援資金をEU産部品を買うところだけにする」と対抗した。論難が大きくなるとオバマ大統領が火消しに出た。「米国が自分のことしか考えずに国際貿易を気にかけないというメッセージを与えるのは過ちだ」とし「バイアメリカ」反対の立場を明らかにした。


大統領の発言にそっぽを向いたまま米上院は5日「バイアメリカ」条項を進めた。世界貿易機構(WTO)規定に反することがないようにというただし書きはつけたが、非難を免れるためだ。何でも他人のせいにする本質は変わらなかった。自分が悪くてミスをして経済が危機に陥ったのに、それはすべて覆いかぶせて安くて質のよい品物を輸出したほかの国に矢を向けるのだ。



【コラム】バイコリア、バイアメリカ(2)

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