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<時論>北の‘瀬戸際戦術’、もう効果はない

 今年に入って北朝鮮は韓半島の軍事的緊張を高めることに没頭している。 軍服を着た総参謀部スポークスマンが韓国との全面対決態勢を云々し、数日後には祖国平和統一委員会が南北間の政治軍事合意の全面無効化を宣言した。 北朝鮮外交部は米国との修交後に非核化を考えるとし、それも6カ国協議でない核保有国間の核軍縮会談でする、という論理を展開した。 さらにテポドン2号ミサイル発射のための準備を始めた。 06年の核実験後に中断した瀬戸際外交が再稼働している。

北朝鮮の過激な行動は、彼らが主張するように、また韓国社会の一部が指摘するように、李明博(イ・ミョンバク)政権の対北朝鮮強硬政策のせいだろうか。 北朝鮮の国民所得を10年以内に3000ドル水準に高めるための大規模な経済支援プログラム「非核・開放・3000」構想を厳格な相互主義に立脚した対決政策という。 しかし李明博政権が開城(ケソン)工業団地、金剛山(クムガンサン)・開城観光など金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の対北朝鮮事業をすべて継承し、南北貿易も増えているという事実は、何を意味するのか。 韓国人観光客が金剛山で殺害された日にも、李大統領は国会で6・15、10・4共同声明を履行する意向を表した。 したがって北朝鮮の過激行動は、韓国政府よりも米国に向けられたものだと考えなければならない。

93年に発足した米国のクリントン政権は、選挙戦と政権引継ぎ過程で直接交渉と‘ニンジン’の必要性を強調する方向で北朝鮮政策を検討した。 「血は同盟より強い」と就任式で述べた金泳三(キム・ヨンサム)政権も、非転向長期囚の李仁模(イ・インモ)を北朝鮮に送還する前向きな対北朝鮮政策を見せた。 しかし北朝鮮は南北交渉をボイコットするなど強硬姿勢に出た。 準戦時状態を宣布し、核兵器不拡散条約(NPT)脱退を宣言した。 日本列島に向けてノドンミサイルを発射し、結局、米国との高官級会談に成功した。 また韓半島の超緊張状況を活用、金正日(キム・ジョンイル)は国防委員長に就任し、北朝鮮軍部を完全に掌握した。 後継構図の完成とともに今日の先軍体制の骨格が当時築かれたということだ。


現在の北朝鮮の行動パターンは16年前と驚くほど似ている。 米オバマ政権が北朝鮮との直接対話を強調している状況で、北朝鮮は全面対決態勢を云々しながら軍事的緊張を醸成し、ミサイルカードをちらつかせている。 ここで勝負をかけるという覚悟だ。 瀬戸際外交で利益を得た過去の経験から、初期に機先を制し、核武装と対米関係の正常化を同時に獲得するパキスタン式の解決を実現させようという狙いだ。 対内政治的側面も同じだ。 韓半島の軍事的緊張を高めて国内の結束を図り、体制への支持を動員する手続きを踏むはずだ。 また米国との談判過程を極大化し、最終的には後継構図を構築しようとするだろう。

北朝鮮のこうした手法は昔から変わらない。 したがって誰も驚かない。 すでにヒラリー米国務長官は、非核化後に北朝鮮との修交が可能だと釘を刺している。 大量破壊兵器の拡散を違反した北朝鮮の会社に対する制裁も続いている。 北朝鮮当局は核実験で軍事大国になり、2012年までに経済大国まで成し遂げ、強盛大国を完成する、と住民に宣伝してきた。 今回、前例がないほど瀬戸際戦術の頻度と強度を高めているのも、早期に米国と談判し、‘2012年目標’を達成しようという狙いがあるようだ。 しかしこうした方法では望むものを得られないというのが問題だ。 世界的な経済危機でどの国も他国を支援するのが難しくなった。 こうした状況で最も脆弱な国は、海外支援に依存する北朝鮮のような国だ。 特に北朝鮮を助けようとする南の同胞も疲れている。 泣くから与えるという状況ではない。 北朝鮮は瀬戸際戦術の効能が次第に薄れていることを直視しなければならない。



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