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「急成長のコーヒーチェーン店」「最も魅力的な成長株」「飲料業界のアイコンと言えるブランド」。
多様な修飾語を付けて高成長を続けてきた、米コーヒーチェーン大手・スターバックスの「成功神話」が揺れている。
スターバックスは今月28日に08年10月~12期決算の純利益を公開する際、年内に300店舗を閉鎖し、6700人を削減すると発表した。業績も低迷している。昨年第4・四半期の純利益は6430万ドル(約57億円)で、1株当たり純利益(EPS)は9%にすぎなかった。前年同期に比べ68%も減ったものだ。総売上高は6%減の26億ドルにとどまった。
今回閉鎖する店舗のうち、200店舗は米国内に、100店舗は海外にそれぞれある。スターバックスはこれら店舗の人員を最大限ほかの店舗に分散、配置するものの、相当数のリストラが避けられないという立場だ。今回の発表は、昨年すでに公表した600店舗の閉鎖計画に続くものであることから、市場ではスターバックスの栄華が終わったのではと懸念する声も上がっている。
◇主要事業を度外視=スターバックスの危機のサインは、昨年金融危機が生じる以前から現れていた。「全世界に4万店舗」を目指し、無理に店舗拡大を進めたのが禍根だった。立地条件、周辺の商圏も考慮しないまま店舗を展開し、収益を出せずに経営不振の店舗に転落するケースが多すぎた。
昨年10月、経済コラムニストのグロス氏は「スターバックスの店舗数が金融危機の指標だ」という見方まで示した。金融バブルがある地域には間違いなくスターバックスの店舗が密集しているということだ。CDやDVDの制作などエンターテイメント・ビジネスに乗り出し、売り場にコーヒーとは関係のない雑多な商品をディスプレーしたのも失敗の原因となった。
1杯=4ドル以上もする高価格のコーヒーにも、景気低迷以降、消費者が背を向けた。米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)は「コーヒーという主要事業の競争力を維持できなかったのが失策だ」と分析した。
◇自己救済策づくりへ=スターバックスは今年3月、コーヒーと朝食のメニューをセットにした商品を発売し、危機を打開する踏み台にするとしている。昨年新発売されたフルーツのスムージーにも期待を寄せている。「景気低迷が続く間に、スターバックスを‘接近可能な高級ブランド’にする」というのがハワード・シュルツ最高経営責任者(CEO)の構想だ。
しかし一部では、むしろスターバックスのアイデンティティーばかり損ねるのではないかと懸念する声も出ている。ストアハウスのパートナー、エドワドアナリストは「スターバックスには極端な対策が必要とされ、苦痛に耐えなければいけない時期だ」と話している。
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