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【社説】竜山惨事を街頭デモの口実にするな

「ソウル・竜山(ヨンサン)再開発地域のビルで発生した立てこもり住民死亡事件」に関連した記者会見が昨日、2回あった。午前には民主党を含む野党と民生民主国民会議など社会団体が会見を開き「2月1日にソウル清渓(チョンゲ)広場で、竜山惨事の被害者を追慕し、MB(李明博大統領のこと)悪法を阻止するための国民大会を開催する」と明らかにした。午後には竜山惨事関連市民団体の集い「汎国民対策委員会」が「今週土曜日から週末ごとに清渓広場で追慕大会を開く」と発表した。

同時に全国にかけて焼香所を設置し、追慕のろうそくデモを開くという。昨年、米国産牛肉の輸入に反対した、牛海綿状脳症(BSE)をめぐる波紋から始まったろうそくデモを連想させるから残念だ。もちろん惨事の犠牲者を追慕するのは必要とされる。しかし敬虔(けいけん)であるべき追慕行為が、ろうそくを手にした街頭デモに広がっては困る。惨事が街頭デモの口実になってはいけない。

懸念されるのは、今回の街頭デモを主導する集いが、昨年、ろうそくデモの当時と同じ諸市民団体だからだ。記者会見のタイトルから「暴力殺人鎮圧への糾弾およびMB悪法を阻止するための会見」だ。出席者の一部は、李明博(イ・ミョンバク)政権をヒトラーのナチスに比喩(ひゆ)し追い詰めた。惨事を反政府闘争に持っていこうとする政治的な扇動と言わざるを得ない。あたかもこうした状況を待ち望んだかのような印象すらある。社会の分裂・対立の再現を懸念するほかない。


韓国経済研究院の集計によると、昨春のろうそくデモによる社会的費用だけでも3兆7000億ウォン(約2400億円)にのぼる。経済危機の中でこうした国力の消耗を繰り返す愚かさは避けねばならない。今は惨事の原因を徹底的に究明し、再発を防ぐため力を集めるべき時点である。特に民主党の場外闘争は時代錯誤に陥ったものだ。竜山惨事は場外闘争を展開すべき懸案ではない。場外闘争は合法な政党活動が制約された独裁時代に止むを得ず選ばなければならなかった極限の闘争だ。

民主化時代に野党がいるべき場所は国会議事堂である。今民主党がすべきことは惨事に関連した政府の責任を追及し、再発を防ぐための後続対策を作る院内活動だ。2月の国会には民主党が処理すべきものが山積している。直ちに内閣改造に伴う人事聴聞会を開くべきだ。先の国会で先送りした各種の経済回生に向けた法案もこれ以上漂流させてはいけない。「暴力国会」の再発を防ぐための立法も欠かせられない。

民主党は院内活動を通じ社会の分裂と対立を解決、統合しなければならない「制度圏の政党」である。それが有権者が議員バッジを与えた訳であり、法と制度を通じてあらゆる特別恩恵を認めた理由だ。街頭へ向かいたいなら、議員バッジを先に返すことが有権者に対する最小限の礼儀であろう。



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