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米ニューヨークのタイムワーナーセンターの4階に位置する高級寿司店「MASA」。
「銀座スシ幸」のオーナーシェフ、高山雅さんが04年にオープンした同店は、大きな竹のすだれが店内のあちこちにかけられていて、壁には屏風が立てられているなど、完全に日本風であることから「寿司の寺院」というニックネームで呼ばれる。
料理は木器、陶磁器、ガラスの器など高級食器に盛られる。このように日本の文化を掲げたのが成功した秘訣(ひけつ)のひとつとされる。米経済誌フォーブスは06、07年に同店を全世界で最も高いレストランに選んだ。
1人=400ドル(約3万6000円)のディナーメニューもある。レストランに文化を加え「和食=高級」のイメージを植える現場だ。「MASA」は全米ナンバーワンのレストランガイド「ザガットサーベイ」が選定した「ニューヨークベスト25」に入る和食レストラン7店のうちのひとつ。
ウナギ専門のシェフ、ヤスダ・ナオミチさんが運営する「寿司ヤスダ」は、ワインの代わりに4種類の日本のビールと6種類の日本酒だけを扱い、デザートもモチアイスクリームをサービスするなど和食博物館の役割を果たしている。
寿司専門店「ササブネ」は、調理室のそばに大きな生け花の作品を展示している。またアメリカ人が好むカリフォルニアロール(実は日本ではなく米国で開発されたもの)や味付けしたマグロののり巻きは売らないという方針を決めている。シェフのマスヒサ・ノブユキさんがハリウッドスターのロバート・デ・ニーロとマンハッタンで共同で運営する寿司店「NOBU」は日本の料理と文化が米国の主流社会の中に深く入り込んだことを示す。
米連邦政府の弁護士サイラス・ネジャードさん(33)は「最高のレストランで実習生に昼食をおごるのがニューヨークの大手ローファームの伝統だが、実習生だった02年の夏に行ったのがNOBUだ」とした後「大人気で非常に有名である上、優雅な和風だったので、そわそわしながら食事をした」と話した。
フランス・パリのシャンゼリゼ通り付近にある回転寿司の店「ロ・スシ」を夕方に訪問してみると、20~40代の若い顧客で満席だった。テーブルに東洋系の顧客は見当たらなかった。ほぼ100%がフランス人のお客さんだった。
パリの心臓といわれるシャンゼリゼ通り付近とソルボンヌ大学(パリ大学の一部)がある大学街ラテン区にも、ここ数年間で新しい和食レストランが10店もオープンした。推算によると、現在パリには約550~600店の和食レストランが営業中だ。
パリ第1大学に通うノルベル・オーランジュさん(23)は「和食と和風のインテリア、陶磁器、装飾品に会える和食レストランはひとつの‘小さな日本文化院’と認識されている」と話した。
ニューヨークの和食レストランは小さな「日本文化院」(2)
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