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在任中、脳梗塞で不帰の客となった小渕恵三元日本首相は、生前、多くのニックネームを持っていた。政治経歴や党内パワー、人気などであまり誇れるものがなかった彼を、マスコミは「凡人宰相」と呼んだ。ニューヨークタイムズは、魅力のない彼を「冷えたピザ」にたとえた。中曽根康弘元首相は「真空首相」と比喩した。何も入っていないという意味の酷評であるといえるものの、実は反対意見まで傾聴してすべての政策を包容する柔軟性をおだてた言葉だった。彼はバキュームクリーナーのように人を引きこもうと努力した。代表的なのが「ブッチフォン」だ。
小渕氏は暇さえあれば秘書を通じずに直接ダイヤルを回した。相手は有名人や一般人、年や階層、与・野党を選り分けなかった。自分に苦言を言った記者には「私に伝えてくれて感謝する」という言葉とともに助言を求めた。野党議員には「今日の質疑にきちんと答弁できなくて申し訳ない」と補充説明をした。すると新しい支持率は就任初期の20%台から50%台に垂直上昇した。ニューヨークタイムズは「冷えたピザも温めればおいしく食べることができる」と酷評を撤回した。
2004年4月、彼が死去するとビル・クリントン米大統領が追悼声明を出した。「故人はよく知らない人に1日50通ずつ電話をし、心の琴線に触れる伝説を残した」クリントン当時大統領も電話政治の徳をたっぷり受けた人だった。与小野大の議会と取り組む彼は主要法案表決に先立って野党(共和党)議員に電話をかけて説得した。その結果、野党の賛成の割合がもっと高かった場合も何回もあった。クリントン氏も就任時より支持率をもっと上げて退任した。
現在、就任したオバマ大統領もこうした前例をよく知っているようだ。ニューヨークタイムスは「共和党議員たちがブッシュ氏からもらったより多くの電話をオバマチームからもらっている」とし、オバマ大統領の「熱烈な電話求愛」を紹介した。オバマ大統領本人がすでに10人の共和党議員に直接電話で国政遂行協力を訴えたという。
同じころ、李明博(イ・ミョンバク)大統領は経済救済への賛同を訴えた電話メッセージをハンナラ党党員118万人、公務員49万人に送った。リアルタイム肉声通話ではなく、事前録音メッセージだった。だからスパム電話という扱いを受けた事例も少なくなかったようだ。電話をかけた対象もオバマ大統領や小渕氏と違う。大統領が野党議員に電話して新閣僚候補者承認と争点法案通過に協力を頼んだという記事はいつごろ韓国の新聞で読めるのか。李大統領が強調する疎通がオバマ大統領の疎通と言葉の意味はたとえ同じだったとしても、しかし言葉に込められた哲学は違い、違っても特に違ったように見える。
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