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イ・サンユン(28)は俳優という名の科目に没頭する模範生だ。ドラマ『憎くてもかわいくても』(2007)で予習し、映画『色即是空2』(2007)とドラマ『神の秤』(2008)で復習し、着々と備えてきた。そしてMBC連続ドラマ『愛してる泣かないで』で試験台に立たされている。
◆時代の「オムチンア」=「生まれつきの俳優ではありません。演技力も自信も足りませんから」常に「不足だ」と言い続ける彼。気づくとうわさが立っていた“オムチンア”だ。ハンサムな顔で勉強までよくできるという「お母さんの友達の息子=母親が比較の対象として引き合いに出す欠点のない同じ年代の男性」という意味だ。「イ・サンユン=オムチンア」に賛成しない人はいるか。華やかなマスクにソウル大の学生証(物理学専攻2000年度入学)までもっている。デビュー時にも“ソウル大の男キム・テヒ”という別称で通じた彼だ。
「ソウル大のタイトルが役に立っていないというのはうそですよ。まったく同じな条件ならちょっとは関心を持ってもらえるから」しかし彼は「オムチンアはソウル大のタイトルにドラマ上の配役が加わって作られたイメージであるだけで実際とは違う」と言った。
『愛してる泣かないで』で金持ちの家庭の一人息子であるチャン・ヒョヌ役を演じ、また“フンナム”(温かな男性)キャラクターだ。「新人のときはイメージで突き進んでうまくいくこともあります。しかし“ソウル大”“オムチンア”のイメージが固まってしまえば俳優として成長するのは難しい。解決すべき課題です」“オムチンア”コンプレックスを破るために彼は「壊れる用意ができている」と言う。「映画『トンケの青い空』のチョン・ウソン先輩や『奴×3』のソン・ガンホ先輩の役も良さそうです。組織暴力団の役もやってみたい」
◆物理学徒と俳優の間=勉強のできた模範生。俳優になる前イ・サンユンはそうだった。物理学教授を夢見た平凡な大学生だった。そんな彼が公益勤務要員として服務した2004年ある芸能企画会社の目に止まった。ハイトビールの広告が彼の初作品だ。物理学の本の代わりにシナリオを取った理由を知りたかった。「俳優養成学校で初め、すべての視線が自分の演技に傾く経験をしました。物理問題を解いたときとは比較にならない快感でした」模範生らしく彼は演技を勉強と比較した。「芝居ほど難しい勉強もない」という言葉を何度も言った。物理の実験をするようにシナリオを分析する習慣もあると言った。「まだ琴線に触れるような演技をする自信はありません。それで全体の芝居の流れを徹底的に分析する方です。まだ胸よりは頭で芝居を習っているところです」
彼は演技が難しく思われる度に先輩俳優ユ・ジテを思い浮かべるという。「時代のアイコンながらも絶え間なく演技の実験をする姿が立派」という理由からだ。「もっと自信に満ちて余裕のある俳優になれたらいいと思います。『霜花店』のような映画にも堂々と出演する日が来るかと思っています」インタビュー終始、彼の頬にはえくぼができっぱなしだった。俳優イ・サンユンの可能性を秘めた深い井戸のような。
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