日本の右翼の活動と思想を研究
金采洙(キム・チェス)著、高麗(コリョ)大学出版部
621ページ、2万4000ウォン(約1500円)
日本の思想集団を見てみると、発想のスケールが予想外に広大なところに驚く。1904に日露戦争の開戦を控えて、日本の軍部は、ロシアや北欧の社会主義者の蜂起を支援する莫大な工作資金を渡し、70年代には国内で敗走した赤軍派が第三世界の共産主義革命を試みるとして突然中東へ向かうこともあった。
最近では「反米右翼」の活動も感知される。90年代に入り、右翼のナショナリズムを制度圏でも広範囲に受け入れはじめると、「ネオ・ナショナリスト」という勢力が登場した。これらは「米国を中心にした世界体制」を問題視する右翼だ。この新たな右翼の主唱者は、北朝鮮を訪問し「金正日(キム・ジョンイル)総書記を中心に、すべての国民が‘愛国心’で固まっている体制から、一種の‘健全さ’を読むとることができた」と評価するほどだ。
理念的に左でも右でも発想の急進性は、当面はとんでもないものに思われても、ある瞬間日本の社会全体を激動させる「雷管」になることもある。高麗大学日本語・日本文学科の金采洙教授が著した同書は、日本の右翼の思想的な系譜とスペクトラムをまとめている。右翼思想の精神的な根となる「天皇神話」から、明治維新と軍国主義の時代を経てグローバル時代に至るまで、数多くの右翼団体と人物を紹介した。
著者は「およそ30年間にわたって日本に関する文献を読んできたが、日本はこんな国だと言える自身がなかった。しかしこの研究を進めていくうちに初めて日本という実体がうっすらと見えてきた」と書いた。著者は、日本の歴史と文化は一言で「皇道史観」を主軸に展開されたと著している。
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