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サイバー空間に見たミネルバ<上>



サイバー空間の信頼危機が「歪んだインターネットの英雄」作った

検察捜査結果、インターネット論客「ミネルバ」が無職の31歳と明らかになり、私たちが当面した信頼の危機が再確認された。専門家でもない青年の投稿で、経済がだぶつき世論が動揺したのはサイバー文化の逆機能と韓国社会の欠点を同時に示す部分だ。こうした歪んだ「神話」はどうして出現し、どれだけ蔓延され、これを阻む対策はないのかシリーズで緊急点検した。今回は李御寧(イ・オリョン) 中央日報顧問にミネルバ騷動がどうして起きて、どう見ていかなければならないのか尋ねた。李顧問の分析を次のように整理した。


「ミネルバ」 事件は予告されていたものだっだ。イギリス国防省は未来に国家安保を害することができる10大危険要因のひとつにインターネット上の虚偽情報を挙げている。信憑性のない情報がインターネットに乗って拡散し、社会を大きな混乱に陥れることがあると警告したのだ。9・11同時多発テロ以後、 広がった「ブッシュの自作劇」など陰謀論が代表的な例だ。事実ではないものと確認された後にも濃い残像を残し、米国と被害者たちに二重の被害を与えた。最近、米国発金融危機が起こった後には「韓国を除いたアジア地域は大丈夫だ」といったルーマーがインターネットに広がっている。何の根拠もない情報だが、一般ネチズンには力強い説得力を発揮する。キーワードは「睡眠効果(sleeper effect)」だ。時間がたつほど信憑性あるニュースに背を向けて、むしろ信憑性のないニュースは信じる逆説的社会心理を示す。

情報の信頼危機を増幅させていることがサイバー空間だ。インターネットは草の根デモクラシーを拡大させる長所があるが、想像を絶する破壊力も持っている。過去のアナログ時代にはデマの被害者が一部に止まったが、デジタル時代の今は経済全体を壊すことが可能だ。繁殖力が大きいという点で鳥インフルエンザ(AI)や新型肺炎(SARS)のような変種ウイルスにも似ている。匿名のウイルスはある日突然一瞬にして社会システムに故障を起こす。「ミネルバ」 のような人々が狙ったのがニューメディアのこうしたアキレス腱だ。大人しい人もお酒を飲めば変わるように、平凡な市民がウェブでは攻撃的に変わったりする。

今回の事件をインターネットの恐るべき潜在性に備えたモデルにしなければならない。インターネットは技術だけではなく社会と文化の産物だ。インターネットが政治、経済、社会と青少年の教育にどのような影響を及ぼすのか政府と各機関が深く研究をしなければならない。新聞と放送など既存のメディアも根拠のないニュースをつまみ出す検証機能を強化しなければならない。にせ物情報の洪水の中で溺れ死にしないよう「ノアの箱舟」の役割をしなければならない。何よりネチズンたちの自制力が切実に要求される。ネチズンが自らを統制する自制力と互いを牽制する自浄能力を発揮しなければ第2のミネルバはまた出現する。



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