旧約聖書の創世記１１章には、人々がレンガを焼き、天までバベルの塔を積む話が出てくる。 自らの栄光を表すために搭を積む人間の驕慢さに怒った神は、人々の言葉がお互い通じないようにし、工事を中断させた。 聖書にはバベルの塔の高さについて出ていないが、中世の人々は６０００メートルほどだったと想像した。

人類の歴史で天を突き刺す高い建物、摩天楼が実際に建てられ始めたのは１９世紀末からだ。 １８９４年、米ニューヨークに建てられたマンハッタン生命保険ビルの高さは１０６メートルで、１９３１年に建てられたニューヨークのエンパイア・ステート・ビルは尖塔までの高さが４４９メートルに達した。


このような超高層ビルが克服しなければならないのは神の憤怒ではなく重力だった。 高くそびえたビルを下から引っ張ろうとする無慈悲な力を克服するためには、高強度のコンクリートと鋼鉄が必要だった。 丈夫な鋼鉄がなかったとすれば今日の都市スカイラインはなかっただろう。 レンガと石材でも理論的には１６００メートルの高さまで積むことができるが、一度傾くと持ちこたえられないため実際には１０－１２階が限界だ。

風と地震も問題だ。 高度が上がるほど風が強くなり、５０階に比べ１００階では４倍も強い風を受ける。 建物が少しずつ揺れるようにすれば風や地震に耐えられるが、人間が我慢できないほど揺れると問題だ。 数千・数万人が生活する摩天楼のため、超高速エレベーターも作らなければならず、超高層階で使った水が下に落ちる際に生じる強い水圧にも耐えられるよう設計しなければならない。 こうした技術に支えられて７４年、米国シカゴには高さ５２７メートルのシアーズタワーが、２００３年には台湾・台北に高さ５０９メートルの国際金融センタービル（台北１０１）が建設された。 現在、アラブ首長国連邦（ＵＡＥ）ドバイには世界で最も高いビル、ブルジュ・ドバイの尖塔が建てられている。 最終的な高さはまだベールに包まれているが、８１８メートルほどになるという。 これに対抗してサウジアラビアでも、貿易港のジッダに高さ１０００メートルを超えるビルを建てようという動きがある。 ソウル蚕室（チャムシル）にも１１２階、５５５メートルの高さの第２ロッテワールドが建設される見通しだ。

空に向かった競争は今後も続くだろうが、スーパー台風などの気象異変、最悪のテロ・火災・停電事故に徹底的に対応できなければ、もう一つのバベルの塔になるしかない。