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米国のオバマ次期政権が日本を重視するアジア政策を展開する見通しだ。特に知日派でソフトパワー論の提唱者であるハーバード大学のジョセフ・ナイ教授を次期駐日大使に内定したのは、日本を重要な外交パートナーとする考えとみられる。
世界的な名声を持つナイ教授は米国の代表的な国際政治学者だ。米国の外交政策と関連して進歩的な見解を持っている。昨年12月24日に死去したハーバード大学のサミュエル・ハンティントン教授を双璧を成す。2005年に国際政治分野で最も影響力のある米国人学者10人に選ばれた。プリンストン大学を卒業しローズ奨学生として英オックスフォード大学で修士学位を取った。ハーバード大で博士学位を取得し、1964年からハーバード大学教授を務めている。1995年から2004年まで行政政治学大学院のケネディスクール学長を務め、世界的に知己が多い。日本の塩崎恭久元官房長官もナイ教授の教え子だ。
ナイ教授が80年代末に初めて紹介した「ソフトパワー」の概念は、外交専門誌のフォーリンポリシーに90年代初めに掲載され有名になった。ナイ教授は2004年に同じ名前の本も出している。
96年に日米新安保共同宣言の立案にも深く関わったナイ教授は、2000年には知日派のリチャード・アーミテージ元国務副長官とともに対日同盟戦略文書の「アーミテージ・ナイ・リポート」を著した。米大統領選真っ只中の2008年6月にはリチャード・ダンジグ元海軍長官と共同で「日米同盟はアジア太平洋地域での米国外交の礎石」とするオバマ陣営の対日政策論文を日本の新聞に寄稿した。この寄稿で「ブッシュ政権が中国により関心を示しているという日本の認識のため、東京とワシントンの間に不安感が起きている。日本は米国を助け気候変動と地球レベルの伝染病問題など新たな脅威に立ち向かいともに協力できる国だ」と指摘した。
朝日新聞は、「ナイ教授の駐日大使内定は、過去の日米政策立案過程の実績が反映されたもの。オバマ政権はナイ教授を中心に対日政策を立案・実施するだろう」との見通しを示した。また、「日本を厚い配慮した布陣だ。ソフトパワー論を踏まえて軍事偏重ではない幅広い同盟関係を築くだろう」と分析した。
◆ソフトパワー=軍事力や経済制裁など物理的・経済的な力を示すハードパワーに対応する概念。文化や価値観、国際交流など非物理的な力を通じて行使する影響力を指す。
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