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【コラム】放送の問題点浮上させた放送スト

政府・与党の放送法改正案に反対する言論労組の放送ストが続いている。言論労組ストとはいうが、実質的に主導しているMBCのストだと言っても過言ではない。実際にストに賛同する他の放送局はもちろん、MBCですら放送内容からストの雰囲気を実感するには難しい。

今回のストもやはり、「反公益的な族閥言論と財閥に放送を渡すことはできない」という伝統的な公益的名分がそのまま踏襲されている。放送法改正案で大企業と新聞社の放送参入を認めたのは、族閥メディアと財閥に放送をわたし究極的に放送を掌握するための陰謀だとの主張だ。

しかしこうした極端な主張が実現するためには複雑なさまざまな段階の手続きを経なくてはならない。言論労組の主張通りにするならば、放送法改正で大企業・保守新聞社に放送所有を認めた後、まだ発表されていないが公営放送法でMBCを市場から圧迫し、放送文化振興会の持ち分を保守新聞と大企業に売却して民営化するということだ。これ以降保守政権と結託して放送を掌握しようというシナリオだ。しかしこの手続きが法的・政治的にどれだけ多くの難関があるかは放送従事者ならだれでもわかっている。もちろんこうした手続きが成功するためにはとても堅固な陰謀の意志がなければならず、また実際にそうした陰謀があったとしても、そのまま実現できるかは疑問だ。


さらに放送事業が高コスト低効率のレッド・オーシャンに墜落している時点で、大企業と新聞社が先を争って放送事業に参入するかも疑問だ。またインターネットなどの媒体が急速に広まっている状況で、一部大企業と新聞社が放送事業に参入したとして、市場を独占できるかは未知数だ。実際に1980~1990年代と違い、今回の放送ストに国民が大きな不便を感じていない雰囲気は、すでに世論独占が事実上不可能であることを端的に示すものかも知れない。

かえってスト以降連日続いているMBCの各種時事報道番組の一方的で偏向した報道が、放送局のニュースが組織利己主義によりどれだけ偏向的になれるかをよく示している。結局今回のストはMBCをはじめとする韓国の報道構造の問題点がどこにあるのかを国民が認識する契機になりそうだ。

なにより放送の公益性を守るというストの名分が、真の公益性を担保するためのものなのかという点だ。これまで参入障壁の名分となっていた公営放送の論理は80年代の新軍部による言論統廃合以降の歪曲された放送構造を合理化するためにつくられたものだ。それ以降、この公営放送論理は地上波放送局の独占的地位を保障する論理に変質し威力を発揮してきた。

特に放送市場に競争者、それも大企業や新聞社のような競争力がある事業者の参入を防ぐための論理として使われてきた。反公益的な大企業と新聞社の参入が放送市場を商業化させ、放送の独立性を害するだろうという主張だ。もちろんその主張には一面には妥当な側面がある。しかしこのために公営放送であるKBSと公営放送であることを自認してきたMBCが商業化されるという主張はなによりかれらがどれだけ公益的でなく弱い放送局だったかを逆説的に見せてくれる。

論理的に競争が深まるほど公営放送の公益性を守る役割は多くなるしかない。それならMBCが自分たちの主張どおりに本当の公営放送ならば、放送法改正がMBCを民営化させ掌握することになると批判するのではなく、放送の公益性をより強固に実現するという意志をみせればすむことだ。

いまは自分たちが放送市場を閉鎖的にしなければ放送の公益性を守れないという古い傲慢な態度から抜け出さなくてはならない。代わりに自分たちだけでも放送の公益性を堅持するという前向きな姿勢を持てば、今回のストが「放送局の既得権益を守るため」という批判から抜け出せるだろう。





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