「涙が出れば汽車に乗って仙岩寺へ行きなさい／仙岩寺の解憂所（お手洗い）に行って思い切り泣きなさい／…／涙が出れば歩いてでも仙岩寺へ行きなさい／仙岩寺解憂所の前／背の曲がった松にもたれて泣きなさい」詩人の鄭浩承（チョン・ホスン）は古い寺に立ち寄り、用を足そうと手洗いを探した。 彼の目にとまった古い紙一枚に書かれた文。「体の中のたまった荷物を捨てるように煩悩と妄想も未練なく捨てなさい」突然、アンモニアの臭いが染み込んだ解憂所が老いた母の懐のように感じられた。 彼は松の下にしゃがみこんで心の中で大いに泣いた。 心の中に残ったまま人の目を気にしていた涙が一気にあふれ出したという。 このように体の中を空にして心の中を無にしてこそ、鄭浩承は美しい詩を得た。

世界最高の報道写真作家の集団のマグナム。 武器の代わりにカメラを持って２２年間戦地を歩いてきたロバート・キャパが主軸になって結成した会だ。 キャパはスペイン内戦現場の「人民戦線兵士の死」で有名になり、揺れるノルマンディ上陸作戦の写真で不滅の名前を得た。 彼は「私が行くところは別にある」とし、当代最高の女優イングリッド・バーグマンの求婚を断った人物だ。 彼の運命はベトナムで地雷を踏んで終わった。 キャパは多くの後輩がついてきたが、自分の基準を強要したことはない。 ただ、マグナムの事務所にこうした文を残した。「良い装備に欲を出さず、楽な靴を準備しなさい」より多く歩き回るほど、より現場に近づくほど、良い写真を撮れるという自身の経験が込められている。


本当につらかった一年が暮れる。 周辺の多くの人が苦痛を受けている。 貧困は死刑と無期懲役の間の宣告されない刑罰という言葉がいつよりも実感される。 来年はもっと厳しくなるという。 マイナス成長なら生活は窮屈になり、胸には青くあざができるのは明らかだ。 数日も残っていない年末に重い心から空にするのはどうだろうか。 あえて遠くへ行く必要はない。 思う存分大声で泣けるところなら、それは仙岩寺解憂所でないか。 帰ってくる道では靴のひもをしっかりと締めてほしい。 キャパのようにより多く歩き回る覚悟を固めながら…。 耐えて生き残るのが大切だ。 間違いなく来年にも春は来る。 その間乗り越えてきた艱難の歳月と比較すると、この世は相変わらず生きる価値のある世の中ではないか。