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金融危機とともに訪れた「ドルの危機」…通貨戦争が始まった(2)



人民元もアジア地域の主要決済通貨として急浮上している。中国は10月にロシアと人民元で決済することで合意した。台湾・香港とは協議を進めている。マレーシアとフィリピンは人民元を外貨準備高として備蓄している。東南アジア諸国連合(ASEAN)では人民元が第2のドルとして通用する。

日本円も一気に力をつけている。最近の円高で日本人が世界のホテルと百貨店に集まっている。円を受け取るところも増えた。


しかしこうした動きにもかかわらず、これら通貨がドルを押さえ込むには力不足という分析もある。延世(ヨンセ)大学の成太胤(ソン・テユン)教授は、「米国発の経済危機でドルの価値が揺れているといっても、基軸通貨の地位は揺らがない。むしろ金融危機の中でドルは安全資産として脚光を浴び存在感もさらに高まるかもしれない」と話す。

実際に基軸通貨になるにはいくつかの条件を満たさなくてはならない。貿易取引の決済手段として使わなくてはならないが、ドルの壁を乗り越えるのは容易ではない。昨年の中国の貿易取引のうちドル決済の割合は75%に達した。日本もドル決済の割合は49~74%程度だ。

また、基軸通貨になるには通貨が世界的に広がらなくてはならない。米国は第2次世界大戦後、欧州復興と発展途上国支援のためドルをばらまいた。ベトナム戦争当時もそうだった。その後も長い間貿易赤字を出しながら、ドルが世界のすみずみに広がった。

金の力だけで基軸通貨になるものではない。軍事力と政治力も圧倒的に優位でなければならない。LG経済研究院のシン・ミンヨン金融室長は、「現在米国以外にこうした要件を備えている国はない」と話している。

◆基軸通貨=国際決済や金融取引の基本となる通貨。ドルが基軸通貨になったのは第2次世界大戦末期の1944年に西側44カ国がドルを金と固定比率(金1オンス=35ドル)で交換できるよう合意したブレトン・ウッズ体制から。



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