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自国の通貨を世界の中心通貨にするための通貨戦争が本格化している。一部では大恐慌以降で最大の金融危機の中、力が弱くなったドルの隙に食い込んでいる。決済通貨としてユーロや人民元を使うところも増え、一部地域ではドルとの角逐が起きている。
ドルの弱まりは避けられない。金融危機の余波で米国の金融と実体経済が根元から揺さぶられているためだ。主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は先週だけで2%落ち込んでいる。
各国のドルへの依存度も下がっている。国際通貨基金(IMF)によると各国の外貨準備高のうちドルの割合は2001年に72.3%だったが、今年第2四半期には62.5%まで下がった。ドル建てで発行される債券の割合もこの期間に53.6%から36.1%に減った。
ドルの名声にひびが入るや、各国が声を上げている。フランスのサルコジ大統領ら欧州連合(EU)執行部は先月、ワシントンで開かれたG20金融サミットで「ドル中心の通貨体制に代わりユーロを含む多極体制に転換すべき」と促した。中国の胡錦涛国家主席も最近、「国際通貨体制の全面的な改革が必要だ」との認識を示している。
ユーロ圏の単一通貨であるユーロは今年6月に導入から10年を超え、15カ国で3億2000万人が使うほど割合が高まった。ユーロ建て債券は現在6兆ドル相当が発行されており、世界の債券発行規模の48%に達する。ドル建て債券発行額はこれに及ばず4兆ドル程度だ。
金融危機とともに訪れた「ドルの危機」…通貨戦争が始まった(2)
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