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2007年最高の流行語はある通信社CMの『ショーをしなさい』だった。『ショーする』という言葉のもつ否定的語感を減らし、思いきり人生を楽しみなさいという意味だった。自分勝手にダンスを踊った無名のモデルが一躍大人気となった。
2006年は流行語がいつになく豊かだった。コメディアンのキム・ミリョが鼻にかかった声で「金さん、運転してちょうだい」という“奥様ギャグ”は上流層の虚偽意識を皮肉ってヒットした。映画『イカサマ師』のチョンマダム(ギャンブリングハウスオーナー)キム・ヘスは、警察に連行され「私、梨花女子大出た女よ」と叫んだ。このような虚飾と虚栄、そして脅しは2006年のキーワードのように見えるほどだ。ドラマ『ファンタスティックカップル』のハン・イェスルの「コラジハゴヌン」(このザマは~)、『ギャグコンサート』シン・ボンソンの「チャジュンチデルダ」(じれったくて腹が立つ)、ドラマ『朱蒙』の「ハンシマンノム」(情けない奴)などがともに流行った。まるでこれに反発でもするかのように『ウッチャッサ』(笑いを求める人々)は反転状況のたびに「イゴンアニジャナ」(これは違うじゃない)を叫んだ。
2005年は冷笑主義と達観が飛び交った。映画『親切なクムジャさん』の中でのイ・ヨンエの台詞「ノナチャルハセヨ」(大きなお世話)で『ウッチャッサ』の「テッコドゥン」(結構)まで冷笑主義の強いパンチを飛ばした。『ギャグコンサート』のチャン・ドンミンは「クカイコテチュン」(その程度のものだいたい)と言いながら達観の余裕を見せた。あるカード社CMは「お父さんは言ったじゃない、人生を楽しみなさい」と消費を督励した。
今年の最高の流行語は何か。『ベートーベンウイルス』の毒舌家カン・マエの「トントンオリ』(糞の塊)『母さんに角が生えた』の優雅な俗物コ・ウナの「ミセスム~ン」が浮上している。しかし最強者はやはり『ギャグコンサート』アン・サンテの「プニゴ」(~だけで)だ。だぶだぶのコートを着て哀れな表情でレポートしたアン・サンテ記者が次第に困境に処する“弱り目にたたり目・切迫”ギャグだ。状況は極限に来ているのに「プニゴ~」を叫ぶこと以外には何の対策がない。先日まで「思い通りにやればいい」という楽天的な“トェゴソング”(通信社CM)が流行ったのと比べると、隔世の感を覚える流行語だ。
今は一般的な「ミョンテ」(名誉退職)「イテベク」(二十代の大半が失業)「サオジョン」(45歳定年)などの流行語はIMFで消えた。そしてIMFのトンネルを脱するやいなや、カード社は「お金持ちになってください」「熱心に働いたあなた、旅に出よ」と富と消費を奨励した。楽観の流行語は主にカード社や通信社のCMが発信するという点も注目を集める。
とにかくIMFから10年あまり。哀れな我らがアン・サンテ記者は「プニゴ~」を叫びながら言いたいことも言えず、IMFの記憶をぬぐい去ることができない大衆は、その苦しい境遇に自分を投影して見ている。果たして来年の流行語は何になるだろうか。
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