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どうせ食べられないスープなら指でも入れてみる、という内容の成語がある。 春秋時代、鄭の君主・霊公の時代の話だ。 南側の楚から贈り物を送った。 特大のスッポンだ。 霊公はこれを煮て家臣に振る舞おうと考えた。
霊公に会いに宮殿に入る2人がいた。 鄭の貴族の子公と子家だ。 2人が対話をしている途中、子公の食指が突然動いた。 子家は「なぜ指が動くのか」と尋ねた。 子公は「なにか特別な食べ物があればこうなる」と答えた。 宮殿に入った2人が目撃したのはなるほど大量のスッポンスープだった。 打ち合わせでもしたかのように2人は笑った。 霊公が「なぜ笑うのか」と尋ねると、2人は先程の指の動きについて話した。
霊公はわざと子公にはスッポンスープを与えなかった。 他の人たちが食べているところで一人だけ眺めていた子公は、ついに大きな釜に近づいて食指をどっぷりとつけ、味見をした後、その場を離れた。 霊公はこのため子公を殺そうという決心をしたが、先手を打った子公によって殺害された。
『史記』と『左伝』に登場する話だ。 指を入れたことで「染指」という言葉として定着した故事だ。 触れてはならないものに勝手に手をつけるという意味だ。 「食べられない柿を突き刺してみる」という韓国の諺に似ている。
政府の対北朝鮮政策が揺れている。 納得がいかないのは誰もが同じはずだ。 だからといって元大統領の金大中(キム・デジュン)がこれを正面から反駁することには無理がある。 彼は「李明博(イ・ミョンバク)大統領が南北関係を意図的に破綻させている」と述べた。
彼は「民主連合結成」という提案もし、あげくの果てには民主党をはじめとする野党がどうだと言わんばかりに団結した。 元大統領の現実政治介入がこれほどなら実に問題だ。 対北朝鮮政策に関する限り太陽(包容)政策が唯一の案だと言うことはできない。 現政権としては調整が必要な部分が明確にあるという点を考えなければならない。
この金大中を「精神病者」「北朝鮮に送れ」と言いながら飛び込んでくる金泳三(キム・ヨンサム)も問題だ。 政治を業にしてきた2人は80歳を超えても政界を懐かしむようだ。 2人の態度は、食べ物があれば食指が動いたという子公のケースと非常に似ている。 でもスープに手をつけるだけで終えてほしい。 釜までひっくり返さないか心配だ。
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