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国内初の尊厳死認定判決を下したソウル西部地方裁判所民事12部裁判長金泉秀(キム・チョンス、44、写真)部長判事は、判決を下すため、現場調査にまで乗り出した。9月、陪席判事たちを連れて患者キム某さんが入院するセブランス病院を直接訪れ、患者の状態を察した。宗教界関係者にも会い、意見を聞いたりした。
金部長判事も生死の間をさまよった経験がある。水原(スウォン)地裁に勤めていた1997年、雨の中を運転していたところ、中央線を越えてきたバスと衝突したのだ。当時、腰の神経などに大きな損傷を負い、35%永久障害診断を受けた。手術後、立ち上がれるまでに1カ月がかかった。
しかし彼はあきらめずに運動と韓方(漢方)治療を行い、リハビリを進めた。10年余りのリハビリの結果、健康を回復し、現在は日常生活に支障がないまでになった。先月には中央ソウルマラソンに参加し、生涯初めてフルマラソンを完走した。金部長判事は西部地方裁判所マラソン同好会会長を務めている。
金部長判事は宣告直後「誰も死を目の前にして生命を取り戻すことができない絶望的状況に処することがありえる」とし「最大の社会的弱者でもあった彼らを関心と思いやりを持って守ることができるかをめぐり悩んだ」と述べた。金部長判事は「今回の判決は全体的な安楽死を認めたものではなく、無意味な生命延長装置の除去に賛同したもの」と説明した。「自分の生命は他人ではなく自ら判断する権利があることを認めたものであり、(尊厳死関連)論議のきっかけになったらと思う」と話した。
--宗教界に及ぶ波紋なども考慮したか。
「医師としては原則的に患者が治療を中断してほしいと言っても受け入れることはできない。そのように生命をとどめていること自体が死を目前として望ましいことなのかは別の次元の問題であるといえる。カトリックの神父と僧侶を通じて意見を聞いた。『自然に死に至るようにすることは神の摂理に反することではない』という意見もあった」
--家族の要求は棄却して本人の意思を推定して判決した理由は。
「尊厳死関連法がある国家では大部分あらかじめ書面で作成しておく方式を取っている。意識不明になれば意思表現ができないから書面が有力な資料になる。しかし韓国は関連法がない。法がない限りいつまでも認めることができないとか、書面がないということで推定できないからと単純に排斥するものではない」
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