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<尊厳死判決>医療界・患者家族「賛成」…宗教界は意見分かれる

キム・ヒャンイさん(62、仮名)は昨年「3期の肺がん」と診断され、ソウルの某大学病院で闘病生活を始めた。だが病状は日増しに悪化した。今年9月からはこれ以上抗がん剤が効かなくなった。副作用で肺炎も発症した。医療スタッフは「末期」と診断した。

キムさんは集中治療室に移されてから3日後に人工呼吸器を装着した。キムさんは現在集中治療室で2カ月目を迎え、死を待っている。キムさんの息子は「そろそろ母が休めるようにしたいものの、人工呼吸器を外すことができず、家族が互いの表情だけうかがっている」と話した。医療スタッフも法的責任を懸念し、無意味な治療を続けている。

尊厳死認定に対する各界の反応は多様だ。法的責任を懸念する医療界と患者の家族、一般の人々は尊厳死を認めるべきだという雰囲気が優勢だ。宗教界は宗教別に立場が分かれる。カトリック教だけが尊厳死を制限的に認める。尊厳死が「現代版の高麗葬」(訳注:高麗時代に70歳以上の高齢者を山に捨てた風習のこと)に悪用されうると懸念する声もあがっている。依然国内には尊厳死に関する法律や基準がない。今回の判決を機に「尊厳死法」を制定すべきだという声が高まっている。したがって、今回の判決を契機に、尊厳死をめぐる議論が広がるとみられる。


◇一般の人々の88%「尊厳死に賛成」=国立がんセンターが10月、成人男女1006人を対象に「品格ある死に対する国民意識調査」の結果をまとめて発表した。回答者の87.5%が尊厳死に賛成することがわかった。国立がんセンターが昨年、末期がん患者と家族を対象にした調査でも、患者の85%と家族の94%が集中治療室への入院と心肺蘇生(そせい)術に反対した。

大韓医師協会は同日の裁判所の決定について「回復の見込みがない患者に対し‘消極的な安楽死’を認めたのは社会的に必要だ」という立場を表明した。ソウル大医大の許大錫(ホ・テソク、血液腫よう内科)教授は「医学的判断に優先する患者の自己決定権を認めた象徴的な判決だ」とした上で「医師も‘患者の生活の質’に対する価値を認め、無意味な治療を減らせる契機になるだろう」との見方を示した。

宗教界は各宗教別に立場が異なる。仏教の曹渓(チョゲ)宗(韓国仏教最大の宗派)は立場を留保した。総務院関係者は「宗教団体レベルの公式的な立場はない」とした後「ただ回復の見込みがなく、明確に、人工的な装置を外したら死亡するほかない場合は、尊厳死を認められるのではないか、という立場を検討中だ」と話した。

カトリック教ソウル大教区生命委員会のパク・ジョンウ神父は「医師の専門的な判断と家族の同意があれば、回復の可能性がない末期患者の無意味な延命治療は中断できるという立場だ」と明らかにした。パク神父は「しかし薬品を投与して生命を絶ったり、回復の可能性があるのに苦痛を減らすため生命を短縮させる安楽死などには反対する」と明言した。

韓国キリスト教総連合会関係者は「同会レベルの公式的な立場はまだない」とした。教団別に立場が分かれるものの、プロテスタントの進歩と中道進歩側は尊厳死をかばう雰囲気であり、保守志向の教団は尊厳死について否定的な立場だ。



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