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【コラム】開城工業団地は南北いずれにとっても宝物

北朝鮮は12月1日から開城(ケソン)観光事業を中断させ、南北(韓国・北朝鮮)連結の象徴である京義線(ソウル~新義州区間)鉄道の運行とすべての商業的な交流、民間協力事業も中断させる方針を決めた。ただ開城工業団地は、中小企業への特例的な保障措置として企業経営を持続できるようにした。

この10年間、南北経済協力の「看板事業」となっていた金剛山(クムガンサン 北朝鮮南東部の観光地)と開城が消えており、南北関係の停滞は深まりつつある。このようになった基本的な背景は、南北関係で真の対話がなかったためとみられる。新政権は6.15宣言(2000年6月15日に金大中当時大統領と金正日委員長が合意、発表した共同宣言)、10.4宣言(金正日・盧武鉉両氏による南北関係の発展と平和繁栄に向けた宣言)について具体的に協議する意向があることを数回表明し、北朝鮮に対し、南北対話に臨むよう呼びかけた。

しかし北朝鮮は10.4宣言の即刻履行だけを求めている。昨今のことではないが、南北関係と統一問題は保守や進歩のどちらかに偏った見解では解決されない。そうした方法では分断60年の理念的対立と摩擦を解消しにくく、民族の融合と統一の道を見つけることもできない。今後は南北が互いに開かれた心と大乗的な見地から接近しなければ、問題を解くことはできない。


ひとまず南北当局レベルで率直な対話が行われなければならない。北朝鮮に「当局間の対話に臨むように」という一般的な要求よりは、日時と場所、人を指定し、対話しようというのが現実的だ。高位級の特使を決め、「5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・いくら)」に基づく具体的なメッセージを伝えなければならない。こうしたことが、北朝鮮に振り回されるものと批判されるかもしれないが、南北関係の改善に向けた韓国の努力と真正性を絶えず伝えることによって、北朝鮮を少しでも動かすことができる。

▽南北関係の大きな枠組みと6.15、10.4両宣言に対する相互の立場▽「非核・開放3000」構想(北朝鮮が非核化と開放に成功すれば年間所得が3000ドルに達するようにするという新政権の政策)と共存・共栄政策の連係▽金剛山事業と開城工業団地の問題▽人道レベルの支援--などの議題をテーブルにすべて載せて、包括的に協議し、意見の隔たりを狭めていかなければならない。

必要とされるならば、南北が非公式に意見を調整し「新10.4宣言」を作ることもできるのだ。何よりも重要なのは現在かろうじて生命を保っている開城工業団地は必ず維持されるべきだという点だ。南北がともに全力を尽くし進めなければならない宝物である。満4年になった開城工業団地は製品を作って売る、単なる工業団地ではない。

1日少なくとも8時間にわたって南北の住民がともに働き、生活しながら互いの異なる体制と文化を理解しはじめた。多様な技術を移転し南北間の人的な格差を解消できる機会も作った。未来の民族的かつ社会的統合の踏み台と統一費用を減らせる機能を開城工業団地が受け持っているのだ。「漸進的な統一」のためにどんな過程を経るべきかを見せる実証の空間でもある。

このように意味深い開城工業団地まで門を閉める事態が発生し、休戦ラインで再び南北間の緊張が始まるとすれば、これは「コリア・ディカウント」による国家信頼度と経済安定に莫大な影響を及ぼすことになるだろう。北朝鮮も外国との貿易、経済協力、外資の誘致が難しくなり、経済特区の建設を再び進めるのは不可能だろう。テロ支援国指定解除措置でせっかく国際社会の一員になる機会も完全に消えることになる。

断絶と復元の繰り返しは、南北いずれにとってもプラスにならないものだ。「統一韓国」という未来への希望と、統一のビジョンに対する国民的な理解と合意も肝要だ。保守、中道、進歩など多様な利害集団の見解を溶鉱炉に入れて、「統一韓半島」に向けた未来戦略とこれを実現するための周到綿密な中長期かつ段階別な実行策を打ち立てた後、その枠組みの中で、南北関係を発展させていかねばならない。

民族統一はひとつの政権で成し遂げられるものではなく、国家レベルから進められるべきものだからだ。ドイツのベルリンの壁は突然崩れたものではない。第2次世界大戦での敗戦以降、西ドイツが40年以上にわたって複数の政権を経て一貫した交流と協力を進め、東ドイツの民主化に惜しまない支援を行った結果であることを見過ごしてはならない。



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