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<グローバルアイ>直島の奇跡2(2)

 先日、取材のために1年半ぶりに直島を訪れた。 直島では特産品が飛ぶように売れ、観光客を迎えるレストランも続々とできていた。 今年この島を訪れる観光客の数は約34万人(推定)という。 島の人口の100倍にのぼる。 5年前に比べて6倍に増えた。 相当数が外国人だ。 しかし何よりも驚いたのは直島の成功による波及効果だった。

豊島。 直島から船で20分の距離にある、人口1100人の小さな島だ。 ここでは最近、大規模な美術館の建設が進められている。 ベネッセと日本の有名な建築家、西沢立衛氏の共同作業で「第2の直島」をつくるということだ。 豊島から北へ30分の距離にある犬島にもベネッセが企画した「精錬所」という名前の美術館が最近建てられた。 人口60人の島に美術館が誕生したのだから驚く。

これだけではない。 この島々が中心になって2010年7月から「瀬戸内国際芸術祭」を開始する。 直島・豊島・犬島など周辺7島が連係し、さまざまな芸術作品の展示と公演を毎年100日間行う。 瀬戸内海の島を名実ともに「芸術の島」として世界に印象づけるという構想だ。 一日は直島で草間彌生の「赤かぼちゃ」を鑑賞し、一日は豊島に渡ってフランスのクリスチャン・ボルタンスキーが演出する設置芸術作品を鑑賞できるとは、奇抜な発想だ。 「直島の奇跡」は今、第2段階の「瀬戸内海の奇跡」にアップグレードされていた。


不況のため誰もが厳しいと言う。 だからといって思考停止の状態では未来がない。 こういう時こそ、イカの腹を裂いたり、小さな島を世界的な名所に変貌させる創造的な発想があちこちから出てこなければならない。 それでこそトンネルの終わりも早く見えてくるのではないだろうか。



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