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緻密な北朝鮮軍部…不意打ち食らった韓国政府



北朝鮮は今月21日、開城(ケソン)工業団地管理委員会と入居企業に「24日、開城に入って協議しよう」と提案した。政府は北朝鮮側との対話に期待を寄せ、約100人を送った。

しかし紹介を受けて、工業団地講堂の壇上に上がった金日根(キム・イルグン)北朝鮮特区開発総局長は、開城観光の中断などを一方的に通報してから10分後に退場した。いかなる対話も行われなかった。


北朝鮮の突然な協議要請に隠された意図を読み取ったり、対策を講じたりする政府の事前の動きはなかった。このため、「北朝鮮軍部が演出した舞台で、韓国の企業家がわき役に追いやられるよう、政府が幇助(ほうじょ)した格好となった」と批判する声があがっている。

脅威効果を極大化するため、緻密(ちみつ)に動いた北朝鮮に釣られ、韓国政府が不意打ちを食らったということだ。事態が起きた後の政府の対策も頼もしくない。統一部の金浩年(キム・ホニョン)スポークスマンは24日「国民の安全を最優先的に考えて、後続の措置を取っていく」と述べた。具体的な措置は何かという記者団の質問が続くと、金スポークスマンは「すべてタイムスケジュールがあり、その計画に基づき動いている」とし、同じコメントばかり繰り返した。

今後もこれといった妙策がなさそうに見えるのが問題だ。今年7月、北朝鮮軍が金剛山(クムガンサン 北朝鮮南東部の観光地)で韓国人女性観光客を射殺した事件当時までも、韓国政府は北朝鮮に圧力を加えている局面だった。しかしわずか数カ月後に北朝鮮軍部は、韓国に対し相次いで強硬措置を取り、李明博(イ・ミョンバク)政権を窮地に追い込んでいる。

今月12日に北朝鮮軍部が開城工業団地の中断を予告したが、10日が過ぎるまで統一部はこれといった対策一つも打ち出せずにいた。波状的に続く北朝鮮の攻勢に取り組む戦略にも穴がたくさん空いている。

国策機関のある研究委員は「民間団体が北朝鮮を批判するビラを飛ばす問題を軍事会談の議題に持ち出した北朝鮮に、政府が巻き込まれた」と指摘した。民間レベルの問題であるだけに、軍事チャンネルではなく当局間の協議で扱わねばならないとし、初期に遮断すべきだったということだ。

北朝鮮は、政府が、民間団体のビラまきを中止させることができないという点をよく知っていながらも、これをカードに政府に圧力を加えている、という分析だ。専門家らは、これからでも政府が「新しい対北接近方法」を模索する必要があると強調する。

慶南(キョンナム)大学北朝鮮大学院の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は「現政権の北朝鮮関連政策は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権との差別化にこだわり、‘北朝鮮馴らし’にのみ集中する姿だ」という見方を表した。

北朝鮮関連懸案を主導する官署である統一部が中心を取らねばならないという注文もある。中央(チュンアン)大学政治外交学科のイ・ジョウォン教授は「金夏中(キム・ハジュン)長官体制の統一部が、李明博政権の北朝鮮関連政策の基調に埋もれすぎて、硬直している」という認識を示した。

「一方的な北朝鮮への支援」で批判されていた統一部が、突然「北朝鮮の悪い癖を直してやる」といった具合で突変しているというのだ。北朝鮮関連政策のコントロールタワーがなく、青瓦台(チョンワデ、大統領府)と外交安保ラインに北朝鮮専門家が排除された状況を懸念する声もあがっている。



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