米国と欧州・日本にデフレの兆しが現れている。経済が低迷し物価が下がり続けているのだ。１９日に米労働省が発表した１０月の消費者物価は前月より１％下がった。統計を取り始めた１９４７年以降最も大きい下げ幅だ。メリルリンチのエコノミスト、デビッド・ローゼンバーグ氏は、「今年の米国の物価上昇率は０％を記録する可能性が高い」と話す。

デフレ状態では商品だけでなく株式や不動産などの資産価値が下がる。１９日基準で米国の代表株価指数のＳ＆Ｐ５００を算出する５００の優良銘柄のうち、シティグループやスターバックスなど１０１社の株価は１０ドルを下回った。スタンダード・アンド・プアーズ（Ｓ＆Ｐ）のアナリスト、ハワード・シルバーブラット氏は、「１０ドル未満の株がこれほど多いのは第２次世界大戦以降で初めて」と説明した。


住宅景気も悪化の一路だ。米国の１０月の新規住宅建設実績は７９万１０００戸で、前月より４．５％減少した。

消費も冷え込み、米国経済の７０％を占めている民間消費は第３四半期に前四半期より３．１％減少した。生産委縮が雇用減少へとつながり、景気低迷が長期化することが懸念される。米労働省は２０日、先週の新規失業手当申請者数が５４万２０００人にとなり、前の週に比べ２万７０００人増えたと明らかにした。ともすれば１９３０年代の大恐慌や９０年代の日本の‘失われた１０年’のような長期不況に襲われることもあると外信は伝えている。

米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）もインフレよりデフレを懸念し始めた。ＦＲＢのドナルド・コーン副議長は、「４～５カ月前よりもデフレの危険が大きくなったことを心配している。攻撃的な通貨政策を取るべきだろう」と述べた。現在年１％水準の政策金利をさらに引き下げることを示唆したものだ。ＦＲＢの金利政策を決定する連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）はこの日に公開した１０月の会議議事録で、「米経済の低迷が１年以上続くこともありうる」と明らかにした。





日米欧に「デフレの危機」（２）